9AM61第9回 公認心理師国家試験 過去問

心理アセスメント-04 症状評価:不安・抑うつ・パニック・社交不安

25 歳の女性A、大学院生。 2 か月前から、突発的な強い不安感と、動悸や息苦しさ、胸部圧迫感及び四肢のしびれを伴う発作が生じていると訴え、精神科クリニックを受診した。Aによると、発作は講義室や図書館、自宅など、状況を問わず起こる。突然始まり、10 分間程度で自然に治まる。発作中は「このまま気を失うのではないか」という強い不安を感じ、発作後には疲労感が残る。発作への恐怖から外出を控えるようになり、大学へ通うことが難しくなっている。修士論文の提出期限が迫っており、データ解析の遅れに強いプレッシャーも感じているという。  Aの病態評価のために行う心理検査として、最も優先度が高いものを 1 つ選べ。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、A の症状からパニック症の病態を考え、その重症度評価に適した心理検査を選ぶことが求められています。

A には、突発的な強い不安、動悸、息苦しさ、胸部圧迫感、四肢のしびれ、短時間で自然に治まる発作、発作への恐怖による外出回避がみられます。これらはパニック発作とパニック症の評価に関係します。

解説

A は 25 歳の大学院生です。2か月前から、状況を問わず、突然始まり 10 分程度で自然に治まる強い不安発作を経験しています。

発作中には、動悸、息苦しさ、胸部圧迫感、四肢のしびれがあり、「このまま気を失うのではないか」という強い不安を感じています。さらに、発作への恐怖から外出を控え、大学へ通うことが難しくなっています。

この経過からは、パニック発作と、それに伴う予期不安や回避行動が中心にあると考えられます。病態評価のために優先される検査は、PDSSです。

PDSSは、Panic Disorder Severity Scale の略で、パニック症の重症度を評価する尺度です。パニック発作の頻度、苦痛、予期不安、回避行動、生活への支障などを評価します。

事例問題で見るポイント
不安症の鑑別では、発作が突然か、状況依存か、持続時間、身体症状、予期不安、回避行動、生活への支障を整理します。

公認心理師としての注意点
動悸や胸部圧迫感などの身体症状がある場合、心理的要因だけで断定せず、医師による身体疾患の鑑別も重要です。

A には修士論文の提出期限やデータ解析の遅れというストレスもありますが、中心は状況を問わないパニック発作と発作への恐怖です。そのため、STAI などの一般的な不安尺度より、PDSS が最も優先度が高いと判断します。

選択肢の確認

1.CAPS
判定:誤り。
CAPS は、PTSD の診断や重症度評価に用いられる面接尺度です。A には交通事故、災害、暴力被害などのトラウマ体験に関連する侵入症状、回避、認知と気分の変化、過覚醒が中心として示されていません。したがって最優先ではありません。

2.HAM-D
判定:誤り。
HAM-D は、うつ病の重症度評価に用いられる尺度です。A には疲労感や生活への支障はありますが、主症状は突発的な不安発作、身体症状、発作への恐怖、回避です。うつ病評価よりもパニック症評価が優先されます。

3.LSAS-J
判定:誤り。
LSAS-J は、社交不安症の症状評価に用いられる尺度です。A の発作は講義室や図書館だけでなく自宅でも起きており、人前で注目されることへの恐怖が中心とはいえません。したがって最も優先度が高い検査ではありません。

4.PDSS
判定:最も適切。
PDSS は、パニック症の重症度を評価する尺度です。A には突然の強い不安発作、動悸、息苦しさ、胸部圧迫感、しびれ、発作への恐怖、外出回避がみられるため、病態評価として最も優先度が高い検査です。

5.STAI
判定:誤り。
STAI は、状態不安と特性不安を評価する尺度です。A の不安の全体的傾向を把握する補助として使われる可能性はありますが、パニック発作と回避行動の評価には PDSS の方がより直接的で優先度が高いです。

覚えるポイント

  • PDSSは、パニック症の重症度を評価する尺度です。
  • パニック発作は、突然の強い恐怖や不安と身体症状が短時間で高まる発作です。
  • 発作への恐怖や回避行動が生活に支障を及ぼす点も重要です。
  • CAPS は PTSD、HAM-D はうつ病、LSAS-J は社交不安症、STAI は不安全般の評価に関係します。

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