9PM144|第9回 公認心理師国家試験 過去問
45 歳の女性A、夫Bと二人暮らし。腹痛や頭痛、動悸などの症状を訴え、総合病院内科を受診した。Aによると、 1 年ほど前からこれらの症状が気になり始め、これまで複数の病院を受診してきたが、原因は分からなかった。痛みが強いため、半年前から外出を控えるようになり、買い物や友人との交流も減った。Bからは「気にしすぎだ」と繰り返し言われ、夫婦関係も悪化している。Aは担当医に「この痛みが続く限り、普通の生活はできません」と不安そうに訴えた。精密検査が行われ、異常は認められなかったとの説明を受けたが、Aは「何かの病気が隠れていると思います」と納得せず、再検査を求めた。 Aの病態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この事例では、身体症状そのものへの強い苦痛と、それに伴う生活上の支障から、身体症状症を理解することが重要です。
Aは、腹痛、頭痛、動悸などの身体症状を1年ほど訴え、複数の病院を受診しています。精密検査で異常が認められないと説明されても納得できず、再検査を求めています。さらに、痛みのために外出、買い物、友人との交流が減り、夫婦関係も悪化しています。
解説
身体症状症では、苦痛を伴う身体症状があり、その症状に関連して過度な思考、不安、行動が持続します。検査で明確な身体疾患が見つからない場合もありますが、重要なのは「症状が本物かどうか」を疑うことではなく、本人が強い苦痛を感じ、生活に支障が出ている点を理解することです。
Aは、腹痛や頭痛、動悸という複数の身体症状を訴えています。痛みが強いため外出を控え、買い物や友人との交流が減っています。また、夫Bから「気にしすぎだ」と言われることで夫婦関係も悪化しています。検査結果に異常がないと説明されても、「何かの病気が隠れている」と不安が続き、再検査を求めています。
病気不安症との違いも重要です。病気不安症では、身体症状がない、または軽微であるにもかかわらず、重い病気への不安が中心になります。一方、この事例では腹痛、頭痛、動悸といった身体症状が明確にあり、その症状への苦痛と生活障害が中心です。したがって、身体症状症が最も適切です。
公認心理師としての注意点
身体症状を「気のせい」と扱わず、本人の苦痛を受け止めます。医師との連携を保ちながら、不安、生活制限、家族関係への影響をアセスメントします。
選択肢の確認
1.適応障害
判定:適切とはいえない。
適応障害は、明確な心理社会的ストレス因に対する情緒面や行動面の反応が中心です。本事例では、身体症状へのとらわれ、不安、再検査要求、生活制限が中心であり、身体症状症がより適切です。
2.社交不安症
判定:適切とはいえない。
社交不安症は、人前で注目されたり評価されたりする場面への強い不安と回避が中心です。Aの外出控えは対人評価への恐怖ではなく、腹痛や頭痛などの身体症状への不安に関連しています。
3.身体症状症
判定:最も適切。
身体症状症では、苦痛を伴う身体症状と、その症状に関連した過度な不安や行動がみられます。Aは腹痛、頭痛、動悸に強く苦しみ、外出や交流が減り、検査で異常がなくても再検査を求めているため、身体症状症が最も適切です。
4.全般不安症
判定:適切とはいえない。
全般不安症は、仕事、健康、家族、将来など複数の領域への過剰な心配が持続する病態です。本事例では、不安が主に身体症状と病気へのとらわれに集中しており、身体症状症の理解がより適切です。
5.病気不安症
判定:適切とはいえない。
病気不安症では、身体症状がない、または軽微であるにもかかわらず、重い病気にかかっているのではないかという不安が中心です。本事例では、腹痛、頭痛、動悸などの身体症状による苦痛と生活障害が明確であるため、身体症状症が最も適切です。
覚えるポイント
- 身体症状症は、身体症状への強い苦痛と、それに関連する過度な思考・不安・行動が特徴です。
- 検査で異常がない場合でも、本人の苦痛や生活障害は丁寧に扱います。
- 病気不安症は、身体症状がない、または軽微な場合の病気への強い不安が中心です。
- 身体症状症では、医療との連携、心理教育、生活機能の回復、家族支援が重要です。
- 「気にしすぎ」と否定せず、本人の苦痛を理解する姿勢が必要です。