36AM88|第36回 臨床工学技士国家試験 過去問

過去問題(分野未登録)第36回

生体内における物質の移動に関わる現象で正しい組合せはどれか。 a.腎臓における水分の再吸収 ― 拡散 b.腎糸球体での物質移動 ― 濾過 c.肺胞から血液への酸素の移動 ― 拡散 d.毛細血管壁から血管外への水分移動 ― 対流 e.細胞内から細胞外へのNa⁺の移動 ― 浸透

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正解: 3

正答

3

公式正答は 3 です。正答内容は b、c です。

この問題のポイント

濾過は膜を隔てた静水圧差等による体積流、拡散は化学電位・濃度差やガスの分圧差に従う移動、浸透は半透膜を介し浸透圧差に従う溶媒移動、能動輸送はエネルギーを用いた電気化学勾配に逆らう移動と区別します。

解説

aは誤りです。腎尿細管の水再吸収は、Na⁺等の再吸収で形成される浸透圧勾配に従う浸透が中心です。集合管等ではADHがアクアポリンを調節します。水分子の乱雑運動を広義に拡散とみる物理的表現はあり得ますが、本問の生理学的輸送分類では「浸透」と対応させます。

bは正しいです。糸球体では主に糸球体毛細血管静水圧が駆動力となり、濾過バリアを通過できる水と小分子がBowman嚢側へ濾過されます。cも正しく、酸素は肺胞気と肺毛細血管血の酸素分圧差を駆動力に肺胞−毛細血管バリアを拡散します。

dは本問の標準分類では誤りです。毛細血管壁を介する水移動は、毛細血管と間質の静水圧・膠質浸透圧によるStarling力に基づく濾過・再吸収と表します。ただし、膜分離・物質移動の文脈では溶媒の体積流に溶質が伴われる溶媒伴流を対流と呼ぶため、対流が物理的に一切関与しないとは断定しません。eは誤りで、Na⁺/K⁺-ATPaseはATPを用いNa⁺を細胞内から細胞外へ排出する一次能動輸送です。

各肢の判定は、a:誤り、b:正しい、c:正しい、d:本問の標準分類では誤り、e:誤りです。

各肢の最終判定は、a:誤り、b:正しい、c:正しい、d:誤り、e:誤りです。

選択肢の確認

選択肢1:a、b

正答ではありません。 bの糸球体での物質移動は糸球体毛細血管圧等で生じる濾過で正しいですが、aの尿細管水再吸収は主に浸透圧勾配に従う浸透と分類するため誤りです。

選択肢2:a、e

正答ではありません。 aの腎水再吸収を拡散とする対応が不適切で、eの細胞内から外へのNa⁺移動も浸透ではなくNa⁺/K⁺-ATPaseによる一次能動輸送なので、両方が誤りです。

選択肢3:b、c

正答です。 bは静水圧等のStarling力による糸球体濾過、cは肺胞気−肺毛細血管血間の酸素分圧勾配に従う拡散であり、どちらも現象と対応が正しいです。

選択肢4:c、d

正答ではありません。 cの酸素の肺胞から血液への移動は分圧勾配に従う拡散で正しいですが、dは本問の生理学的標準分類で毛細血管の水移動をStarling濾過・再吸収と表すため不適切です。

選択肢5:d、e

正答ではありません。 dは毛細血管水移動の標準的対応を濾過でなく対流とする点、eはNa⁺/K⁺-ATPaseによる能動輸送を浸透とする点がどちらも本問の分類と一致しません。

覚えるポイント

  • 腎糸球体は濾過、肺胞O₂は分圧勾配による拡散、腎水再吸収は浸透圧勾配に従う浸透と対応させる。
  • 浸透は単に「水」、拡散は単に「溶質」と二分せず、半透膜・浸透圧差と化学電位/分圧勾配で定義する。
  • 毛細血管の水移動は本問ではStarling濾過・再吸収。溶媒伴流を対流と呼ぶ別文脈まで否定しない。

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