38AM71|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工心肺による体外循環中の血液希釈の効果で正しいのはどれか。 a.溶血が軽減する。 b.輸血量が減少する。 c.組織浮腫が軽減する。 d.酸素解離曲線が右方移動する。 e.脂肪塞栓が軽減する。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺による体外循環中に行われる血液希釈の利点と欠点が問われています。
血液希釈では、プライミング液などにより血液が薄まり、ヘマトクリット値や血液粘稠度が低下します。
主な利点は次のとおりです。
- 血液粘稠度が低下し、微小循環が改善しやすい
- 血球成分への機械的ストレスが減り、溶血が軽減しやすい
- 同種血輸血量を減らしやすい
- 脂肪塞栓などの塞栓物質の影響を軽減しやすい
一方で、過度の血液希釈では酸素運搬能の低下や膠質浸透圧低下による組織浮腫に注意が必要です。
解説
人工心肺では、回路を血液以外のプライミング液で満たしてから体外循環を開始します。
このため、患者血液は希釈され、ヘマトクリット値が低下します。
血液希釈には、血液粘稠度を下げて送血しやすくする効果があります。
血液が流れやすくなると、回路内や血管内での血球へのせん断ストレスが軽減され、溶血の軽減につながります。
また、血液を希釈して使用することで、体外循環中に必要となる輸血量を減らす目的もあります。
ただし、過度に希釈すると酸素運搬能が低下するため、ヘマトクリット値や混合静脈血酸素飽和度を見ながら管理します。
問題文の小項目を確認します。
a.溶血が軽減する。
正しいです。血液粘稠度が低下し、流れが改善することで、血球に加わる機械的ストレスを軽減しやすくなります。
b.輸血量が減少する。
正しいです。血液希釈により、体外循環で必要となる同種血輸血を減らす目的があります。
c.組織浮腫が軽減する。
誤りです。血液希釈により血漿蛋白が希釈されると、膠質浸透圧が低下します。その結果、血管外へ水分が移動しやすくなり、むしろ組織浮腫を起こしやすくなります。
d.酸素解離曲線が右方移動する。
誤りです。血液希釈そのものが酸素解離曲線を右方移動させる代表的な効果ではありません。酸素解離曲線は、pH、二酸化炭素分圧、温度、2,3-DPGなどの影響を受けます。
e.脂肪塞栓が軽減する。
正しいです。血液希釈により血液粘稠度が低下し、脂肪滴などの塞栓物質の影響を軽減する方向に働きます。
ひっかけポイント
血液希釈は「循環をよくする」利点がありますが、組織浮腫を軽減するわけではありません。膠質浸透圧の低下により、浮腫はむしろ起こりやすくなります。
臨床工学技士としての注意点
体外循環中は、ヘマトクリット値、送血流量、静脈血酸素飽和度、尿量、回路内圧、溶血所見を総合的に確認します。血液希釈は有用ですが、過度になると酸素運搬能低下や浮腫につながります。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b、c の組合せです。aとbは正しいですが、cが誤りです。血液希釈では膠質浸透圧が低下し、組織浮腫は軽減ではなく増悪しやすくなります。
2.正しい。
選択肢2は a、b、e の組合せです。溶血の軽減、輸血量の減少、脂肪塞栓の軽減はいずれも血液希釈の効果として適切です。
3.誤り。
選択肢3は a、d、e の組合せです。aとeは正しいですが、dが誤りです。血液希釈そのものは酸素解離曲線を右方移動させる代表的因子ではありません。
4.誤り。
選択肢4は b、c、d の組合せです。bは正しいですが、cとdが誤りです。
5.誤り。
選択肢5は c、d、e の組合せです。eは正しいですが、cとdが誤りです。
覚えるポイント
- 体外循環中の血液希釈では、血液粘稠度が低下します。
- 血液希釈により、溶血が軽減しやすくなります。
- 血液希釈により、輸血量を減らす目的があります。
- 膠質浸透圧が低下するため、組織浮腫は起こりやすくなる点に注意します。
- 血液希釈の効果として、脂肪塞栓の軽減も押さえます。