38AM73|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工心肺による体外循環で正しいのはどれか。 a.中心静脈圧は 15 mmHg 以上を維持する。 b.平均血圧は 100 mmHg 以上を維持する。 c.ヘマトクリット値は 20%以上を維持する。 d.混合静脈血酸素飽和度は 70%以上を維持する。 e.成人の灌流量は中等度低体温では 60~80 mL/(分・kg)である。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、人工心肺による体外循環中の灌流管理の目標値が問われています。
体外循環では、患者の全身循環を人工心肺装置で代行します。
そのため、次のような指標を継続的に確認します。
- 灌流量
- 平均血圧
- 中心静脈圧
- ヘマトクリット値
- 混合静脈血酸素飽和度
- 尿量
- 体温
- 血液ガス
この問題で正しい小項目は、c、d、eです。
解説
体外循環中は、十分な組織灌流と酸素供給を確保することが重要です。
酸素供給は、主に次の要素で決まります。
- 灌流量
- ヘモグロビン量、ヘマトクリット値
- 動脈血酸素飽和度
- 酸素消費量
- 体温
問題文の小項目を確認します。
a.中心静脈圧は 15 mmHg 以上を維持する。
誤りです。中心静脈圧を高く保つことが目的ではありません。体外循環中に中心静脈圧が高い場合、静脈還流不良、脱血不良、右心系うっ血などを考えます。15 mmHg以上を維持する設定は適切ではありません。
b.平均血圧は 100 mmHg 以上を維持する。
誤りです。体外循環中の平均血圧は、患者背景や術式により調整しますが、100 mmHg以上を必ず維持するわけではありません。一般には過度に高い灌流圧を目標にしません。
c.ヘマトクリット値は 20%以上を維持する。
正しいです。血液希釈によりヘマトクリット値は低下しますが、酸素運搬能を保つため、体外循環中はおおむね20%以上を維持することが重要です。
d.混合静脈血酸素飽和度は 70%以上を維持する。
正しいです。混合静脈血酸素飽和度は、全身の酸素供給と酸素消費のバランスを反映します。70%以上を目安に維持することで、組織酸素供給が不足していないかを評価します。
e.成人の灌流量は中等度低体温では 60~80 mL/(分・kg)である。
正しいです。成人の体外循環では、中等度低体温下でおおむね 60~80 mL/(分・kg)程度の灌流量を目安にします。体表面積、体温、代謝、血液ガス、静脈血酸素飽和度を見ながら調整します。
ひっかけポイント
体外循環では「血圧を高く保てばよい」「中心静脈圧を高く保てばよい」という考え方ではありません。
重要なのは、適切な灌流量と酸素供給が保たれているかです。
臨床工学技士としての注意点
人工心肺操作では、流量、圧、貯血槽レベル、脱血状態、送血圧、SvO2、尿量、血液ガス、ACT、温度を同時に確認します。数値単独ではなく、患者状態と回路状態を合わせて判断します。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b、c の組合せです。cは正しいですが、aとbが誤りです。中心静脈圧15 mmHg以上、平均血圧100 mmHg以上を維持することは、一般的な体外循環管理の目標ではありません。
2.誤り。
選択肢2は a、b、e の組合せです。eは正しいですが、aとbが誤りです。
3.誤り。
選択肢3は a、d、e の組合せです。dとeは正しいですが、aが誤りです。
4.誤り。
選択肢4は b、c、d の組合せです。cとdは正しいですが、bが誤りです。
5.正しい。
選択肢5は c、d、e の組合せです。ヘマトクリット値20%以上、混合静脈血酸素飽和度70%以上、成人中等度低体温での灌流量60~80 mL/(分・kg)はいずれも適切です。
覚えるポイント
- 体外循環中は、適切な灌流量と酸素供給を維持します。
- ヘマトクリット値は、20%以上を目安に維持します。
- 混合静脈血酸素飽和度は、70%以上を目安にします。
- 成人の中等度低体温での灌流量は、**60~80 mL/(分・kg)**が目安です。
- 中心静脈圧や平均血圧は、高ければよいというものではなく、患者状態と回路状態を見て調整します。