113B060|第113回 歯科医師国家試験 過去問
80歳の男性。入れ歯がうまく使えないことを主訴として来院した。5年前に上下顎全部床義歯を製作し問題なく使用していたが、最近になって咀嚼が困難になったという。認知機能の低下は認めない。義歯の適合と咬合状態に問題はない。ある検査を行ったところ基準値より低値を示した。検査時の写真(別冊No. 15A)と検査結果の写真(別冊No. 15B)を別に示す。 この患者に起こり得るのはどれか。1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
義歯の適合・咬合に問題がないのに咀嚼が難しく、検査で舌圧が低いことから、舌で食塊を形成して咽頭側へ送る機能の低下を考えます。
解説
舌圧は、舌が口蓋へ食塊を押し付け、まとめ、口腔から咽頭へ送り込む力を反映します。舌圧が低下すると、食物をひとまとまりにすることや、舌背を前方から後方へ口蓋へ接触させて移送することが難しくなり、口腔内残留や食事時間延長を生じます。
鼻腔への逆流、声門閉鎖不全、食道入口部開大不全は、より後方の咽頭期・食道入口部の機能障害です。本例は口腔期の舌機能を評価する検査が低値です。
画像の確認
実画像Aでは、バルーン付きプローブを舌と口蓋の間に置き、舌で押しつぶす舌圧測定を行っています。実画像Bの機器には最大圧10.3 kPaと低い値が表示されており、義歯適合ではなく舌の食塊移送力低下を示します。
選択肢の確認
a.流涎
誤り。口唇閉鎖や唾液嚥下など複数要因で生じますが、低舌圧から最も直接予測される所見ではありません。
b.鼻腔への逆流
誤り。主に軟口蓋による鼻咽腔閉鎖不全で生じます。
c.食塊の移送困難
正しい。舌で食塊を口蓋へ押し付け、後方へ送る力が不足します。
d.声門の閉鎖不全
誤り。喉頭での気道防御に関する咽頭期の障害です。
e.食道入口部の開大不全
誤り。舌圧ではなく、舌骨・喉頭挙上や輪状咽頭筋弛緩などに関係します。
覚えるポイント
- 低舌圧→食塊形成・口腔内移送の低下です。
- 舌圧測定はバルーンを舌と口蓋で押しつぶして行います。
- 義歯に問題がなくても、加齢による口腔機能低下で咀嚼・嚥下が難しくなります。
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