113B070|第113回 歯科医師国家試験 過去問
88歳の女性。義歯についての相談を目的として家族に伴われて来院した。3日前、食事中に苦悶し、救急搬送された病院で内視鏡下に義歯を摘出する処置を受けたという。5年前に重度認知症と診断され、IADLは全介助である。義歯を装着した口腔内写真(別冊No. 22A)、病院から提供された摘出前の胸部エックス線画像(別冊No. 22B)及び摘出した義歯の写真(別冊No. 22C)を別に示す。 まず行うべき対応として適切なのはどれか。1つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
重度認知症の患者が部分床義歯を誤嚥・誤飲し、内視鏡的摘出を受けています。再発すれば生命に関わるため、修理や再製作より先に義歯の使用を中止します。
解説
認知機能とIADLが著しく低下すると、義歯の着脱・管理が困難となり、義歯を口腔内異物として認識できず誤飲する危険があります。クラスプを有する部分床義歯は食道粘膜へ嵌入・穿孔することもあり、再発予防が最優先です。まず現義歯の装着を中止し、家族・介護者へ管理方法を明確に伝えます。
その後、全身状態、摂食状況、残存歯、介護環境を多職種で評価し、補綴治療を行う利益が危険を上回るか検討します。「義歯があるから直す」のではなく、安全性から適応を見直します。
画像の確認
実画像Aでは下顎に金属クラスプをもつ小型の部分床義歯が装着され、画像Cの摘出義歯にも左右のクラスプが突出しています。実画像Bでは頸部から上部消化管付近に義歯の金属部分が投影されており、実際に体内へ入り摘出された経過を裏付けます。
選択肢の確認
a.義歯の修理
誤り。破損修理では、重度認知症に伴う再誤飲の危険を解消できません。
b.義歯の調整
誤り。適合や咬合の調整より、まず再使用を止めて安全を確保します。
c.新義歯の製作
誤り。新製しても自己管理困難による誤飲リスクが残り、直ちに行うべきではありません。
d.義歯の清掃指導
誤り。IADL全介助の本人へ清掃指導するだけでは、重大な誤飲再発を防げません。
e.義歯の使用中止の指示
正しい。生命に関わる再誤飲・誤嚥を防ぐための最優先対応です。
覚えるポイント
- 義歯誤飲歴+重度認知症→まず使用中止です。
- 小型でクラスプのある義歯は食道損傷の危険があります。
- 補綴の利益だけでなく、認知機能・介護力・誤嚥リスクを含めて適応を再評価します。
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