113B076|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

76歳の男性。軽度の咀嚼困難を主訴として来院した。10年前に上下顎全部床義歯を製作し、問題なく使用していたが、2年前から食事時に下顎の義歯が動くようになったという。初診時の口腔内写真(別冊No. 26A)、義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 26B)、義歯装着時の顔貌写真(別冊No. 26C)、偏心運動時(青)とタッピング運動時(赤)の咬合接触を印記した義歯の写真(別冊No. 26D)及び適合検査後の義歯の写真(別冊No. 26E)を別に示す。 考えられる原因はどれか。1つ選べ。

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正解: c

正答

c

この問題のポイント

義歯を10年間使用する間に顎堤は吸収し、形態が変わり続けます。静的な適合と咬合に大きな異常がなくても、支持基盤の経年変化で義歯の安定が低下します。

解説

無歯顎の顎堤は抜歯後も長期にわたり吸収・改造され、とくに下顎では支持面積が小さく、舌や口底の影響も受けるため不安定になりやすい部位です。製作時には安定していた義歯でも、顎堤の高さ・幅・傾斜が変化すると、咀嚼時の水平力に抵抗できず動揺します。

診察では適合試験と咬合検査だけでなく、顎堤形態、粘膜、義歯床縁、研磨面形態、口腔機能も評価します。本例では清掃、咬合高径、床外形、接触関係の問題が否定され、経年変化が最も整合します。

画像の確認

実画像Aでは上下無歯顎、とくに下顎顎堤が低く平坦化しており、長期的な顎堤吸収がうかがえます。実画像Dの接触印記は左右に分布し、画像Eの適合試験でも限局した著しい不適合を示さないため、義歯自体の局所欠陥より支持顎堤の経年変化を考えます。

選択肢の確認

a.義歯の清掃不良
誤り。粘膜炎や口臭の原因にはなりますが、咀嚼時に下顎義歯が動く主因を説明しません。

b.咬合高径の低下
誤り。顔貌や顎間関係への影響を来しますが、本例では咬合状態に問題がないとされています。

c.顎堤の経年変化
正しい。長期間の吸収・改造で支持形態が変わり、義歯の動揺を生じます。

d.義歯床外形の不良
誤り。製作後長く問題なく使用でき、床外形の明らかな不良は示されていません。

e.咬合接触関係の不良
誤り。診察と接触印記で咬合状態に問題がないことが示されています。

覚えるポイント

  • 無歯顎顎堤は義歯製作後も吸収・変化します。
  • 下顎全部床義歯は支持面積が小さく、経年変化の影響を受けやすい装置です。
  • 適合・咬合が良好でも、顎堤形態と口腔機能を再評価します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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