113B086|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

73歳の男性。上顎義歯の審美不良と不適合を主訴として来院した。使用中の義歯は4年前に製作したという。下顎義歯は装着していない。検査の結果、上顎前歯に根面板を装着後、上下顎部分床義歯を新製することとした。初診時の口腔内写真(別冊No. 34A)、使用中の義歯の写真(別冊No. 34B)及び使用中の義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 34C)を別に示す。 義歯の新製にあたり考慮すべきなのはどれか。3つ選べ。

113B086の問題画像
3つ選択
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正解: a・c・d

正答

a、c、d

この問題のポイント

この症例では、上顎前歯部の広い欠損と根面板上の薄い義歯床、咬合高径・義歯スペースの不足、片側に偏った残存歯による咬合支持を同時に立て直す必要があります。

解説

上顎前歯の歯冠を低くして根面板を装着すると歯根を保存できますが、その上を覆う義歯床は薄くなりやすく、広い前歯部欠損の中央は繰り返し曲げを受けます。このため金属で上顎前歯部を補強し、床の破折を防ぐ設計が必要です。

また、上下顎の欠損を長期間十分に補綴していないため、人工歯と義歯床を配置する補綴空隙が不足しています。許容範囲を評価したうえで咬合挙上を行い、必要なスペースと適切な顔貌を回復します。顎間関係は不安定な義歯や残根ではなく、咬合支持を残す右側残存歯を基準として再構築します。

陶歯や熱可塑性樹脂製クラスプには個別の利点がありますが、この症例の第一の問題である床の強度、補綴空隙、安定した顎位を解決する選択ではありません。

画像の確認

実画像Aでは、上顎前歯部に歯冠崩壊した歯・残根と広い欠損があり、上下顎の臼歯部欠損も左右非対称です。実画像Bの使用中義歯は前歯部を広くレジン床で補っていますが、根面に対応する開口部の周囲では床の厚みを確保しにくい形態です。実画像Cでは前歯部床内に金属メッシュ状の部分がみえ、根面上の限られた空間で強度確保が課題になることが分かります。

選択肢の確認

a.金属による上顎前歯部の補強
正しい。広い前歯部欠損と根面板上の薄い床は破折しやすいため、金属補強が必要です。

b.陶歯の使用による磨耗の防止
誤り。陶歯は耐摩耗性をもちますが、対合する残存歯を摩耗させるおそれと必要スペースがあり、本例で優先する対策ではありません。

c.咬合挙上によるスペースの確保
正しい。低下した咬合高径を適切に回復し、根面板、義歯床、人工歯に必要な補綴空隙を確保します。

d.右側残存歯による咬合位の再構築
正しい。咬合支持を残す右側残存歯を基準に、上下顎義歯の安定した顎間関係を再構築します。

e.熱可塑性樹脂製クラスプの使用による審美性の向上
誤り。クラスプの材質変更だけでは本例の強度・スペース・咬合位の問題を解決できず、支持・把持を含む機能設計を優先します。

覚えるポイント

  • 根面板上で床が薄い+前歯部欠損が広い→金属補強を考えます。
  • 補綴空隙が足りなければ、安全性を評価して咬合挙上を検討します。
  • 顎位の再構築には、安定した残存歯の咬合接触を基準として利用します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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