113B087|第113回 歯科医師国家試験 過去問
42歳の女性。上顎左側第一大臼歯部の根尖部圧痛を主訴として来院した。7か月前、上顎左側第一大臼歯に補綴装置を装着したという。2か月前に同部に腫脹を生じたが、1週後に消退したため放置していたところ、2日前から違和感を生じるようになったという。補綴装置の除去は希望していない。同歯の動揺度は1度で、プロービング深さは3 mm以下であった。初診時の口腔内写真(別冊No. 35A)、エックス線画像(別冊No. 35B)及び歯科用コーンビームCT(別冊No. 35C)を別に示す。 適切な処置はどれか。2つ選べ。

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正解: c・d
正答
c、d
この問題のポイント
根管治療歯の根尖病変が再燃している一方、患者は補綴装置の除去を希望していません。歯を保存し補綴装置も温存する外科的歯内療法として、歯根尖切除と逆根管充塡を組み合わせます。
解説
根尖性歯周炎が根管治療後も残存・再発した場合は、通常はまず非外科的再根管治療を検討します。しかし本例では補綴装置を除去したくないという希望があり、歯周ポケットは3 mm以下、動揺も1度で、垂直性歯根破折を強く示す孤立性深いポケットはありません。病変へ外科的に到達して歯を保存する条件があります。
歯根尖切除術では病変組織と感染の残る根尖部を切除します。ただ切るだけでは根管からの細菌漏洩が残るため、切断面側から根管を形成し、生体親和性と封鎖性をもつ材料で逆根管充塡を行います。この2処置を一連の外科的歯内療法として行うことが要点です。
画像の確認
実画像Aでは、上顎左側第一大臼歯に全部被覆冠が装着され、隣在歯にも金属修復物がみられます。実画像Bでは同歯に根管充塡像があり、根尖部周囲に骨透過像を認めます。実画像Cでは根管充塡材を含む複数根の断面と上顎洞を含む周囲構造の位置関係が示され、根尖病変へ外科的に到達する計画に必要な三次元情報が得られます。
選択肢の確認
a.咬合調整
誤り。咬合性外傷を示す所見ではなく、根尖部の感染病変を除去・封鎖できません。
b.意図的再植
誤り。抜歯して口腔外で根尖処置後に再植する方法ですが、通常は直接の歯根尖切除が困難な場合などに限って検討します。
c.逆根管充塡
正しい。根尖切断面側から根管を封鎖し、根管系から根尖周囲への再感染を防ぎます。
d.歯根尖切除
正しい。病変組織と感染が残る根尖部を外科的に除去し、補綴装置を温存して歯を保存できます。
e.外科的排膿路の確保
誤り。現在は急性の波動性腫脹や膿瘍による排膿適応が示されず、排膿だけでは感染源を根治できません。
覚えるポイント
- 外科的歯内療法は歯根尖切除+逆根管充塡を組み合わせます。
- 深い孤立性ポケットがなければ垂直性歯根破折の可能性は相対的に下がります。
- 切開排膿は急性症状への対応であり、感染根管の根治処置ではありません。
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