113B085|第113回 歯科医師国家試験 過去問
68歳の男性。右側舌縁部の接触痛を主訴として来院した。3か月前から口内炎の治療を受けているが症状は改善しない。触診と画像検査で頸部のリンパ節に腫脹を認めなかった。初診時の口腔内写真(別冊No. 33A)、口腔内超音波検査の画像(別冊No. 33B)及び生検時のH-E染色病理組織像(別冊No. 33C)を別に示す。 適切な治療はどれか。2つ選べ。

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正解: c・d
正答
c、d
この問題のポイント
3か月治らない舌縁の硬結性病変と、角化を伴う浸潤性扁平上皮癌の組織像から舌癌と診断します。頸部リンパ節腫大がなく原発巣が限局した段階では、局所根治療法である舌部分切除または組織内照射が適応になります。
解説
舌癌の大部分は扁平上皮癌です。治癒しない潰瘍・びらん、接触痛、硬結を手掛かりとし、画像で深達度を評価して生検で確定します。本例の病理像では異型扁平上皮細胞が胞巣を形成して間質へ浸潤し、胞巣内に同心円状の角化物である癌真珠がみられます。
頸部リンパ節転移を認めず、画像上も局所に限局する早期舌癌では、十分な安全域をつける舌部分切除が標準的な局所治療です。病変の大きさ・深さ・部位と施設条件によっては、放射線源を腫瘍内・近傍へ配置する組織内照射も、舌の形態・機能を温存しながら根治を目指す選択肢です。2つを同時に行うという意味ではなく、いずれも適切な根治治療候補です。
画像の確認
実画像Aでは、右側舌縁に発赤と白色変化を伴う浅い潰瘍性病変があり、単なる一過性口内炎としては長期に残存しています。実画像Bでは粘膜表面直下に低エコーの病変が限局して描出されています。実画像Cでは間質へ浸潤する扁平上皮細胞胞巣と複数の癌真珠が確認でき、高分化型扁平上皮癌を支持します。
選択肢の確認
a.化学療法
誤り。化学療法単独は、このような切除または局所照射が可能な限局性舌癌の根治的第一選択ではありません。
b.免疫療法
誤り。免疫チェックポイント阻害薬は主に再発・転移性などの進行例で検討され、限局した早期病変の局所根治療法に代わりません。
c.舌部分切除
正しい。限局した舌扁平上皮癌を安全域とともに切除する根治治療です。
d.組織内照射
正しい。限局した早期舌癌では、病変内・近傍へ線源を配置する根治的な小線源治療が選択肢になります。
e.副腎皮質ステロイド軟膏塗布
誤り。扁平上皮癌に対する治療ではなく、診断・根治治療の遅れにつながります。
覚えるポイント
- 治らない舌縁潰瘍+硬結+癌真珠=舌扁平上皮癌です。
- 限局性早期舌癌の局所治療は、舌部分切除または組織内照射です。
- 反復する「口内炎」として漫然と外用薬を続けず、2週間以上治らない病変は精査します。
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