113B084|第113回 歯科医師国家試験 過去問
9歳の女児。受け口を主訴として来院した。FMAは標準値より2 S.D.小さかった。診断の結果、上顎前方牽引装置を用いて矯正歯科治療を行うこととした。牽引方向の模式図(別冊No. 32)を別に示す。 適切な牽引方向はどれか。1つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
FMAが標準より著しく小さい低角型では、前後的改善に加えて下顎を後下方へ回転させる垂直的効果を利用できます。上顎前方牽引力は前下方へ向けます。
解説
上顎前方牽引装置は、成長期の骨格性Ⅲ級で上顎劣成長が関与する症例に、上顎骨を前方へ誘導するために用います。一般に口腔内の牽引点から前下方へ力を加えると、上顎複合体を前下方へ変化させるとともに、下顎の後下方への回転を伴います。
FMAが2 S.D.小さいことは、下顎下縁平面が平坦な低角型で、垂直的な顔面高の増加を許容しやすいことを示します。したがって、模式図のうち前下方を向くオが適切です。高角型では過度な下顎の時計回り回転と下顔面高増大に注意します。
画像の確認
実画像では、口唇付近の一点から前方へ向かう5本の矢印が示され、アからオへ順に方向が上方から下方へ変化しています。オだけがFH平面に対して明瞭な前下方を向き、低いFMAをもつ本症例で利用したい垂直成分を備えています。
選択肢の確認
a.ア
誤り。最も強い前上方成分をもち、低角型で求める前下方牽引とは逆です。
b.イ
誤り。前上方へ向くため、必要な下方成分がありません。
c.ウ
誤り。わずかに前上方へ向き、低いFMAを考慮した方向ではありません。
d.エ
誤り。ほぼ水平で、上顎・下顎関係の垂直的改善に利用する下方成分がありません。
e.オ
正しい。前下方への牽引により上顎を前方へ誘導し、低角型で許容される下顎の後下方回転も利用できます。
覚えるポイント
- 上顎前方牽引の基本方向=前下方です。
- FMAが小さい低角型では、下顎の時計回り方向の変化を利用しやすいと考えます。
- 矢印問題では前後方向だけでなく、垂直成分と顔面型を対応させます。
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