119A077|第119回 歯科医師国家試験 過去問
8 歳の男児。前歯部の隙間を主訴として来院した。初診時の顔貌写真(別冊 No. 27A)、口腔内写真(別冊No. 27B)、早期接触位の写真(別冊No. 27C)、エッ クス線画像(別冊No. 27D)及び上顎前歯部の歯科用コーンビームCT(別冊No. 27 E)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 適切な治療方針はどれか。4 つ選べ。

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正解: a・b・c・e
正答
a、b、c、e
この問題のポイント
成長期の前歯部空隙と反対咬合を伴う症例では、萌出障害の除去、歯性補償の改善、上顎成長の誘導、歯の交換管理を組み合わせて治療します。
解説
8歳は顎顔面の成長を利用できる混合歯列期です。治療方針は、まず過剰歯など永久歯の萌出を妨げる原因を除去し、早期接触による機能的な下顎前方偏位があれば前歯被蓋を改善します。上顎劣成長が関与する場合は、上顎前方牽引などにより成長を促します。
上顎中切歯を唇側へ傾斜させることで前歯部反対咬合を改善し、下顎の機能的前方偏位を解除できます。また、乳臼歯の抜去は後継永久歯の萌出誘導や交換時期の調整を目的として行われます。開窓は、永久歯が萌出できず歯冠が骨・歯肉に覆われている場合に限って検討します。
症例問題の解き方
顔貌、前歯被蓋、早期接触位と下顎後退位の差、永久歯の萌出状態、過剰歯、セファロ分析の順に整理します。
画像の確認
実画像では前歯部反対咬合と上顎劣成長を示す側貌、正中離開、上顎中切歯の舌側傾斜がみられ、CTでは上顎正中部の埋伏過剰歯を確認できる。過剰歯を抜去し、成長期に上顎骨の成長を促しながら中切歯を唇側傾斜させる必要がある。さらにパノラマ像で後継小臼歯の萌出を妨げる上顎両側第二乳臼歯を抜去する。
選択肢の確認
a.過剰歯の抜去
正しい。
過剰歯が上顎前歯の萌出や排列を妨げている場合は、その障害を除去するために抜去します。摘出時期は隣接永久歯の歯根形成と損傷リスクを踏まえて決めます。
b.上顎骨の成長促進
正しい。
成長期に上顎骨の劣成長が関与する反対咬合では、上顎前方牽引などにより上顎の前方成長を促す治療が適応となります。
c.上顎中切歯の唇側傾斜
正しい。
上顎中切歯を唇側傾斜させて被蓋を改善すると、前歯部早期接触と機能的下顎前方偏位の解除につながります。
d.上顎両側側切歯部の開窓
誤り。
開窓は埋伏歯の歯冠を露出して牽引・萌出を促す処置です。本症例では上顎両側側切歯部を開窓することが治療方針には含まれません。具体的な萌出状態は画像で確認します。
e.上顎両側第二乳臼歯の抜去
正しい。
上顎両側第二乳臼歯の抜去は、後継永久歯の萌出誘導と歯列交換の調整を目的として行います。後継歯胚の位置と歯根形成段階を画像で確認して実施します。
覚えるポイント
- 混合歯列期は成長誘導と萌出誘導を行える時期です。
- 過剰歯は永久前歯の萌出・排列障害の原因になります。
- 早期接触による機能的偏位では、前歯被蓋を早期に改善します。
- 開窓は埋伏歯の位置と萌出可能性を確認して適応を決めます。