119A056|第119回 歯科医師国家試験 過去問
9 歳の男児。前歯の嚙み合わせが悪いことを主訴として来院した。初診時の顔面 写真(別冊No. 16A)、口腔内写真(別冊No. 16B)及びエックス線画像(別冊No. 16 C)を別に示す。セファロ分析の結果を図に示す。 適切な矯正装置はどれか。2 つ選べ。

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正解: d・e
正答
d、e
この問題のポイント
成長期の骨格性反対咬合では、上顎の前方成長を促す上顎前方牽引装置と、咬合干渉を除くスライディングプレートを用います。
解説
9歳は上顎骨の成長を利用しやすい時期です。上顎劣成長を伴う反対咬合では、上顎前方牽引装置により上顎骨へ前方力を加えます。深い反対咬合や早期接触がある場合、スライディングプレートで咬合を挙上し、上下前歯の干渉を除いて下顎が後方へ移動しやすい環境を作ります。
装置選択は、骨格性か歯性か、上顎劣成長か下顎過成長か、被蓋の深さを画像・セファロ分析で判断します。
画像の確認
実画像Aでは中顔面の陥凹感があり、Bでは前歯部反対咬合と上顎歯列の狭窄がみられる。セファロ分析でも上顎後退を伴う骨格性III級傾向が示されるため、成長期に上顎前方牽引装置で上顎成長を促し、スライディングプレートで顎位・咬合関係を誘導する。
選択肢の確認
a.咬合挙上板
誤り。
咬合挙上板は過蓋咬合などで用いますが、上顎劣成長に対する前方成長促進を直接行う装置ではありません。
b.チンキャップ
この症例の選択肢としては適切ではありません。
チンキャップは下顎の成長方向や位置へ作用させる装置です。設問では上顎前方牽引と咬合干渉除去が選択されています。
c.リップバンパー
誤り。
リップバンパーは口唇・頰圧を排除し、主に下顎歯列弓の拡大や大臼歯の固定に利用します。反対咬合の骨格改善装置ではありません。
d.上顎前方牽引装置
正しい。
上顎前方牽引装置は成長期の上顎劣成長を伴う骨格性反対咬合で、上顎骨の前方成長を促します。
e.スライディングプレート
正しい。
スライディングプレートは下顎歯列に装着して咬合を挙上し、前歯部の干渉を除いて下顎の後方誘導を助けます。
覚えるポイント
- 上顎劣成長には上顎前方牽引装置です。
- スライディングプレートは咬合干渉を除き、下顎の後方移動を助けます。
- 成長期の反対咬合では骨格性・歯性・機能性を区別します。