114A023|第114回 歯科医師国家試験 過去問
65歳の女性。上顎部分床義歯の維持不良を主訴として来院した。8年前に装着し問題なく使用していたが、1週前に左側クラスプが破折したという。診察の結果、クラスプを新製してレーザー溶接修理を行うこととした。新製したクラスプの写真(別冊No. 3A)、クラスプを仮固定した口腔内写真(別冊No. 3B)及び義歯をピックアップ印象した写真(別冊No. 3C)を別に示す。 ピックアップ印象を選択する理由はどれか。2つ選べ。

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正解: d・e
正答
d、e
この問題のポイント
ピックアップ印象は、義歯と新製クラスプの口腔内での位置関係を一体のまま作業用模型へ移す方法です。
解説
クラスプ破折修理では、新製クラスプを支台歯へ適合させ、義歯の所定位置に仮固定します。その状態で義歯ごと印象内へ取り込むピックアップ印象を行うと、支台歯、顎堤、既存義歯、新製クラスプの関係をずらさず作業用模型に再現できます。模型上でレーザー溶接を行い、溶接後にクラスプと義歯の適合を確認できます。
さらに、残存歯列と義歯を含む作業用模型が得られるため、対合模型とともに咬合器へ装着し、修理後の咬合関係を確認できます。印象そのものが仮固定を補強したり、レーザー溶接部の材質的強度を上げたりするわけではありません。
画像の確認
実画像では、Aに模型上で新製されたクラスプ、Bに口腔内で支台歯へ適合させ義歯へ赤色材料で仮固定した状態、Cに義歯とクラスプが印象材へ一体で取り込まれた状態が確認できます。この一体転送が模型上の適合確認と咬合器装着を可能にします。
選択肢の確認
a.仮固定の補強
誤り。
仮固定は印象前に位置を保持するための操作で、ピックアップ印象の目的はその位置関係の転送です。
b.溶接強度の向上
誤り。
溶接強度は接合部設計やレーザー条件などに左右され、印象法によって直接向上しません。
c.義歯床のリライン
誤り。
本症例の目的はクラスプ修理であり、義歯床粘膜面のリラインではありません。
d.溶接後の適合確認
正しい。
口腔内の位置関係を再現した模型上で、溶接後のクラスプと義歯の適合を確認できます。
e.作業用模型の咬合器装着
正しい。
残存歯列と義歯を再現した作業用模型を得て、対合模型との咬合関係を確認できます。
覚えるポイント
- ピックアップ印象は義歯と修理部品を一体で転送します。
- 目的は位置関係の再現、適合確認、作業用模型の利用です。
- 印象法と溶接強度を混同しないようにします。
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