114B032|第114回 歯科医師国家試験 過去問
70歳の女性。下顎全部床義歯が浮き上がることを主訴として来院した。使用中の義歯は10年前に製作したという。診察の結果、下顎顎堤が高度に吸収しているため、義歯を新製することとした。製作過程のある一連の操作の写真(別冊No. 7)を別に示す。 この操作の目的はどれか。2つ選べ。

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正解: d・e
正答
d、e
この問題のポイント
高度顎堤吸収例では、人工歯と義歯床研磨面を舌・頰・口唇の力が均衡するデンチャースペース内に置くことが安定につながります。写真はニュートラルゾーンを記録して歯肉形成へ反映する操作です。
解説
下顎全部床義歯は支持面積が小さく、舌、頰、口唇、口腔底の動きの影響を受けやすいため、高度顎堤吸収例では筋圧の利用が特に重要です。記録用基礎床に軟化した材料を盛り、嚥下、発音、舌や口唇の運動を行わせると、内外の筋圧が均衡する空間が記録されます。
この記録に従って人工歯を排列し、研磨面の歯肉形成を行うことで、筋が義歯を押し外すのではなく、床を顎堤へ安定させる方向に働きやすくなります。
画像の確認
実画像は、排列済みの下顎蝋義歯を基準にコアを採得し、口腔内で舌・頰・口唇の機能運動を行わせて軟化材料の外形を形成し、その形態を人工歯排列と研磨面の完成へ反映する一連の過程です。床辺縁だけを延長する操作ではなく、デンチャースペース内で歯肉部の豊隆を整え、周囲筋の作用を義歯の維持・安定に利用する操作であることが読み取れます。
選択肢の確認
a.床辺縁形態を修正する。
誤り。床縁の長さや厚さを機能運動で整える辺縁形成ではなく、義歯の人工歯位置と研磨面形態を決める操作です。
b.歯肉部を審美的に形成する。
誤り。歯肉形成は行いますが、主目的は審美性ではなく、デンチャースペースと筋圧に調和した機能的形態です。
c.試適時における人工歯の移動を抑制する。
誤り。人工歯の固定を強める操作ではなく、人工歯排列位置と研磨面形態を機能的に決める操作です。
d.デンチャースペース内に歯肉形成を行う。
正しい。機能運動で得たニュートラルゾーン内に人工歯と歯肉部を配置します。
e.義歯の維持に関与する筋の作用を増強する。
正しい。研磨面を周囲筋に調和させ、舌・頰・口唇の作用を義歯の維持・安定に利用します。
覚えるポイント
- デンチャースペースは舌圧と頰・口唇圧が均衡する空間です。
- 高度顎堤吸収例では研磨面形態と筋圧の利用が重要です。
- 辺縁形成とニュートラルゾーン記録を区別します。
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