114B041|第114回 歯科医師国家試験 過去問
73歳の男性。咀嚼時の義歯の不安定を主訴として来院した。8年前に上下顎全部床義歯を装着したが、6か月前から咬合時に上顎義歯が脱離しやすくなったという。使用中の義歯の写真(別冊No. 11A)と義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 11B)を別に示す。 まず行うべき処置はどれか。1つ選べ。

解答・解説を見る
正解: c
正答
c
この問題のポイント
長期使用した全部床義歯では、人工歯の咬耗により咬合高径や両側性平衡咬合が失われ、咀嚼時の義歯動揺・脱離を起こします。本例では、まず咬耗した人工歯の咬合面再形成を行います。
解説
全部床義歯は、中心咬合位だけでなく偏心運動時にも左右の人工歯が調和して接触することで安定します。人工歯が長年の使用で咬耗すると、咬頭傾斜や咬合小面が失われ、咀嚼時に義歯を転覆させる力が生じます。そこで、咬合採得に基づいて臼歯部咬合面を再形成し、適切な咬合高径と咬合平衡を回復します。
リラインは義歯床粘膜面の不適合を改善する処置です。本例でまず確認できる問題は人工歯の著明な咬耗と咬合の不調和であり、床下粘膜の状態や床の適合を評価せず直ちにリラインするのは適切ではありません。
画像の確認
実画像では、上下顎全部床義歯の臼歯部人工歯に著しい咬耗があり、咬頭と咬合面形態が平坦化しています。装着時の口腔内写真でも安定した臼歯部咬合接触が得られておらず、上顎義歯を脱離させる咬合の不調和を最初に是正すべき所見です。
選択肢の確認
a.粘膜調整
誤り。義歯性潰瘍や広範な粘膜の圧迫・変形を回復させる処置で、人工歯咬耗による咬合不調和への第一選択ではありません。
b.リライン
誤り。床粘膜面の適合を改善する処置ですが、まず咬耗で失われた咬合面形態と咬合平衡を回復します。
c.咬合面再形成
正しい。咬耗した人工歯の咬合面を再構成し、義歯を転覆させない咬合接触を回復します。
d.義歯床後縁の削除
誤り。上顎義歯の後縁を不用意に短くすると、後縁封鎖を損なって維持を低下させます。
e.前歯部の咬合調整
誤り。前歯部だけを調整しても、臼歯部の咬耗と両側性平衡咬合の喪失は改善しません。
覚えるポイント
- 長期使用義歯では、床の適合だけでなく人工歯の咬耗を確認します。
- 咬合面再形成は咬合高径と咬合平衡の回復を目的とします。
- 上顎全部床義歯の後縁を短くすると、維持が低下し得ます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。