114D053|第114回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

73歳の女性。下顎義歯の前歯部粘膜面に食物が停滞しやすいことを主訴として来院した。使用中のインプラント義歯は8年前に装着し、義歯の維持には問題がないという。初診時の口腔内写真(別冊No. 15A)、義歯の写真(別冊No. 15B)、義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 15C)及び適合試験の写真(別冊No. 15D)を別に示す。 原因として考えられるのはどれか。2つ選べ。

114D053の問題画像
2つ選択
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正解: a・e

正答

a、e

この問題のポイント

後方顎堤の吸収で義歯床の支持が低下し、前方のインプラントを支点として義歯が回転するため、前歯部粘膜面へ食物が侵入します。

解説

本例は下顎前歯部の2本のインプラントにボールアタッチメントで維持されるオーバーデンチャーです。アタッチメントは維持を与えますが、咬合力の多くは義歯床下粘膜と顎堤が支持します。装着後8年の間に臼歯部顎堤が吸収すると、遠心義歯床の適合が失われ、咬合時に沈下します。

前方のインプラント部が相対的な回転軸となり、臼歯部が沈下すると前歯部床縁が浮き上がる回転が生じます。その隙間へ食物が停滞します。義歯の維持には問題がないためアタッチメント劣化は主因でなく、人工歯摩耗や前歯接触だけでも適合試験で示される広い床下不適合を説明できません。

画像の確認

実画像では、Aで下顎前歯部に2本のボールアタッチメント、Bで対応する義歯内面のマトリックスが確認できます。Dの適合試験では両側臼歯部の義歯床下に試験材が広く厚く残り、後方顎堤吸収による不適合と、それに伴う義歯回転を示しています。

選択肢の確認

a.義歯の回転
正しい。
前方インプラント部を支点に義歯が回転し、前歯部粘膜面に隙間が生じます。

b.人工歯の摩耗
誤り。
咬合高径や咀嚼効率には影響しますが、前歯部床下への食物侵入の直接原因ではありません。

c.前歯部の咬合接触
誤り。
写真だけで異常な前歯接触は示されず、床下不適合と回転の所見が優先されます。

d.アタッチメントの劣化
誤り。
患者は維持に問題がないと述べており、アタッチメントは機能しています。

e.下顎臼歯部の顎堤吸収
正しい。
後方支持の喪失が義歯の沈下・回転と前歯部の浮き上がりを引き起こします。

覚えるポイント

  • インプラントオーバーデンチャーも粘膜支持の定期評価が必要です。
  • 後方顎堤吸収は前方アタッチメントを軸とする回転を生じます。
  • 維持と支持は別の機能として評価します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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