115B061第115回 歯科医師国家試験 過去問

基礎歯科医学口腔解剖・組織・発生

筋緊張が強く、誤嚥性肺炎を繰り返している施設入居の脳性麻痺患者に対して口 腔衛生管理を行うことになった。抗てんかん薬を幼少期から服用しているという。 初診時の最大開口時の口腔内写真 (別冊No. 28 )を別に示す。 用意すべきなのはどれか。 2つ選べ。

115B061の問題画像
2つ選択
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正解: b・d

正答

b、d

この問題のポイント

筋緊張が強く、誤嚥性肺炎を繰り返す脳性麻痺患者の口腔衛生管理では、誤嚥を防ぐこと安全に開口を維持することを最優先にします。そのため、吸引器と開口保持器を準備します。

解説

この患者には、脳性麻痺に伴う強い筋緊張があります。口腔清掃中に突然閉口したり、歯ブラシを咬み込んだりする可能性があります。また、嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎を繰り返しているため、水分、唾液、剝離したプラークを咽頭へ流さない工夫が必要です。

吸引器を用いると、口腔内にたまった唾液や洗浄水、清掃によって遊離した汚染物を速やかに除去できます。口腔内を過度に湿らせずに処置できるため、誤嚥リスクの低減に重要です。

開口保持器は、強い咬反射や不随意な閉口がある患者で、一定の開口量を安全に維持するために使用します。術者の指や器具の咬傷、患者の口唇・舌の損傷を防ぐ目的もあります。

抗てんかん薬の長期服用では、薬剤によって歯肉増殖がみられることがあります。画像では開口量、歯肉増殖、プラーク付着、舌や頰粘膜の状態を確認し、患者の呼吸・嚥下状態に合わせて短時間で清掃します。

医療安全上のポイント
誤嚥リスクが高い患者では、頭部を軽く前傾または側方へ向け、少量の水分で清掃し、吸引を併用します。開口保持器は軟組織を挟まない位置に置き、呼吸状態と表情を継続して観察します。

画像の確認

実画像では、最大開口時でも開口量が限られ、歯肉増殖と清掃不良がみられ、舌が口腔中央に位置している。強い閉口運動に備えて開口を安全に維持し、唾液や清掃物を咽頭へ流さない準備が必要なため、吸引器と開口保持器というb、dが正答となる。

選択肢の確認

a.含嗽剤
誤り。
含嗽には、液体を口腔内に保持し、吐き出す能力が必要です。嚥下機能が低下し誤嚥性肺炎を繰り返す患者では、含嗽剤を誤嚥する危険があるため、必須の準備物にはなりません。

b.吸引器
正しい。
唾液、洗浄水、剝離したプラークなどを速やかに除去し、口腔内容物の咽頭流入を減らします。誤嚥リスクの高い患者の口腔衛生管理で重要です。

c.保湿剤
誤り。
口腔乾燥があれば使用を検討しますが、設問では口腔乾燥が示されていません。筋緊張と誤嚥への安全対策として優先されるのは吸引器と開口保持器です。

d.開口保持器
正しい。
強い筋緊張や咬反射があっても開口を維持でき、術者の指や器具の咬傷、患者の軟組織損傷を防ぎます。

e.超音波スケーラー
誤り。
超音波スケーラーは歯石除去に有効ですが、多量の注水とエアロゾルを生じます。誤嚥リスクが高い患者では、まず安全な口腔清掃環境を整え、必要に応じて手用器具などを選択します。

覚えるポイント

  • 誤嚥リスクが高い患者では、吸引を併用して口腔内に液体をためないことが重要です。
  • 強い筋緊張や咬反射がある患者では、開口保持器を使用します。
  • 含嗽が安全にできない患者へ、無理に含嗽剤を使用してはいけません。

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