115C088|第115回 歯科医師国家試験 過去問
長期間全部床義歯を使用している患者が最近食事がしづらくなったことを主訴と して来院した。上下顎全部床義歯の写真 (別冊No. 33 )を別に示す。 咀嚼障害の原因として考えられるのはどれか。 1つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
長期間使用した全部床義歯では、人工歯の咬耗により咬頭が平坦化し、上下顎間距離が減少します。写真から考えられる咀嚼障害の主因は咬合高径の低下です。
解説
全部床義歯の人工歯は、長期間の咀嚼やブラキシズムによって咬耗します。写真では、臼歯部人工歯の咬頭や溝が不明瞭となり、咬合面が平坦化しています。
上下顎人工歯が咬耗すると、咬頭嵌合位で上下顎の距離が短くなり、咬合高径が低下します。咬合高径の低下は、次のような問題につながります。
- 咀嚼運動時の筋活動効率低下
- 下顔面高の短縮
- 口角下垂や口角炎
- 下顎位の変化
- 顎関節・咀嚼筋への負担
- 前歯部や義歯床への不適切な力の集中
咬頭形態が失われると食物を効率よく剪断・粉砕しにくくなることも、咀嚼困難へ関係します。義歯床の適合、顎間関係、人工歯摩耗、咬合接触を総合的に評価し、咬合面再形成または義歯新製を検討します。
画像の確認
実画像では、長期使用した上下全部床義歯の人工歯咬合面が広く平坦化し、臼歯の咬頭・溝や前歯切縁の形態がすり減っている。上下人工歯の咬耗による顎間距離の短縮が読み取れ、咬合高径低下を選ぶ正答aを支える。
選択肢の確認
a.咬合高径の低下
正答。最も考えられます。
人工歯の長期的な咬耗によって上下顎間距離が短くなり、咀嚼効率と顔貌・顎機能へ影響します。
b.咬合接触面積の減少
誤り。
人工歯が咬耗すると接触面は点から面へ広がり、接触面積はむしろ増えることがあります。問題は咬頭形態と咬合高径の喪失です。
c.不適切な口蓋床の形態
誤り。
口蓋床形態が発音や舌感覚へ影響することはありますが、写真で示された長期使用に伴う主要変化は人工歯咬耗です。
d.不適切な補強線の埋入
誤り。
補強線は義歯床の破折防止を目的とします。写真上の咀嚼障害を直接説明する所見ではありません。
e.過大な臼歯部人工歯の排列
誤り。
人工歯が大きすぎる場合は舌房の狭小化や義歯不安定を生じ得ますが、長期間問題なく使用した後に最近症状が出た経過とは合いません。
覚えるポイント
- 長期使用義歯では人工歯咬耗と咬合高径低下を確認します。
- 咬耗により咬頭形態が失われ、咀嚼効率が低下します。
- 接触面積は咬耗で必ずしも減少しません。