115D047第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯内療法学

55 歳の女性。下顎右側第一大臼歯の咬合痛を主訴として来院した。 3か月前か ら違和感があり、 1週前から歯肉に圧痛があるという。 6に打診痛を認め、動揺 度は 1度で、プロービング深さはすべて 3mm 以下であった。初診時の口腔内写真 (別冊No. 12A とエックス線画像 (別冊No. 12B を別に示す。 疼痛の原因と対応の組合せで正しいのはどれか。 1つ選べ。

115D047の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

打診痛の原因を、咬合性外傷根管内感染に由来する根尖性歯周炎のどちらで説明できるかを、経過、歯周ポケット、口腔内所見、エックス線所見から判断します。

解説

55歳女性で、違和感が3か月続いた後に歯肉の圧痛と咬合痛が増しています。打診痛は歯根膜の炎症を示しますが、それだけで咬合性外傷とは決められません。プロービング深さが全周3mm以下であることから、深い孤立性ポケットを伴う歯根破折や進行した歯周病は考えにくい所見です。

画像では6に全部鋳造冠が装着され、根管治療歴があること、根尖周囲に透過性変化があることを確認できます。局所の歯肉腫脹と長い経過を合わせると、残存した根管内感染を原因とする慢性化膿性根尖性歯周炎が考えられます。原因除去には感染根管治療が必要です。

画像の確認

実画像では、全部鋳造冠を装着した下顎右側第一大臼歯の頰側歯肉に発赤・腫脹があり、デンタル像で同歯の根尖周囲に透過性変化がみられる。根管充填材は描出されておらず、歯周ポケットが全周3 mm以下という設問情報と合わせ、慢性化膿性根尖性歯周炎に対する感染根管治療を選ぶ正答dを支える。

選択肢の確認

a.咬合性外傷 経過観察
誤り。
咬合性外傷なら過高な咬合接触や歯根膜腔の変化を評価します。本症例は根管治療歯の根尖部病変と局所症状を認め、経過観察だけでは感染源が残ります。

b.咬合性外傷 咬合調整
誤り。
咬合調整は明らかな早期接触や過重負担が原因の場合に検討します。本症例の主病変は根管内感染に由来すると判断され、咬合調整だけでは治癒しません。

c.急性化膿性根尖性歯周炎 抗菌薬投与
誤り。
3か月に及ぶ経過と根尖部の慢性病変は、急性病変だけでは説明しにくい所見です。発熱や蜂窩織炎などの全身的・拡大的感染所見も示されておらず、抗菌薬単独より感染根管の処置が中心です。

d.慢性化膿性根尖性歯周炎 感染根管治療
正しい。
根管治療歯に慢性の根尖部病変と打診痛、歯肉の圧痛がみられます。感染根管治療によって根管内の細菌と感染物質を除去し、根尖周囲組織の治癒を図ります。

e.慢性化膿性根尖性歯周炎 経過観察 慢性化膿性根尖性歯周炎別 冊
誤り。
診断が慢性化膿性根尖性歯周炎であっても、症状と根尖部病変がある感染根管を経過観察だけにするのは不適切です。感染源への歯内療法が必要です。

覚えるポイント

  • 打診痛は歯根膜の炎症を示し、原因の特定には歯髄・根管、歯周組織、咬合の評価が必要です。
  • 根管治療歯の根尖部透過像と慢性経過からは、根管内感染の残存を疑います。
  • 局所感染では感染源の除去が基本であり、抗菌薬単独や経過観察では代替できません。

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