116A062|第116回 歯科医師国家試験 過去問
40 歳の女性。左側頰部の腫脹を主訴として来院した。30 分前にかかりつけ歯科 医で下顎左側埋伏智歯の抜去直後から腫脹が出現したため、紹介された。初診時の 顔貌写真(別冊No. 18A)、CT(別冊No. 18B)及び抜歯前のエックス線画像(別冊 No. 18C)を別に示す。 適切な対応はどれか。2 つ選べ。

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正解: b・e
正答
b、e
この問題のポイント
抜歯直後に急速な頰部腫脹が生じた場合、皮下気腫、出血、アレルギー反応を鑑別し、まず全身状態と感染リスクを評価します。
解説
抜歯直後から生じる頰部腫脹で、CTに軟組織内の空気が確認される場合は皮下気腫を考えます。歯科用エアタービンや圧縮空気が創部から組織隙へ入り、頸部・縦隔へ進展することがあります。
対応では、まずバイタルサインを確認し、呼吸困難、嚥下困難、頸部腫脹などの進展を監視します。口腔内細菌を伴う空気が深部組織へ入るため、感染予防・治療目的に抗菌薬投与を行います。
全身管理上の注意点
気道症状、胸痛、縦隔進展が疑われる場合は入院管理や関連診療科への緊急連携が必要です。
画像の確認
実画像では、抜歯直後に両側頰部から下顎下縁にかけて急速な腫脹があり、CTで頰部・咀嚼筋隙・頸部軟組織に多数の黒い気体像が広がっている。皮下気腫の深部進展を示すため、まずバイタルを確認し口腔細菌による感染を防ぐ抗菌薬を投与する正答b、eを支える。
選択肢の確認
a.頰部圧迫
本症例の対応としては適切ではありません。
頰部を強く圧迫すると組織内の空気をさらに深部へ移動させるおそれがあり、基本的対応ではありません。
b.抗菌薬投与
正答。適切な対応です。
口腔内細菌を含む空気が組織隙へ侵入している可能性があるため、抗菌薬投与が適切です。
c.抗ヒスタミン薬投与
本症例の対応としては適切ではありません。
抗ヒスタミン薬は蕁麻疹などのアレルギー症状に用います。皮下気腫そのものへの治療ではありません。
d.アドレナリン筋肉注射
本症例の対応としては適切ではありません。
アドレナリン筋肉注射はアナフィラキシーの第一選択です。低血圧、喘鳴、全身蕁麻疹などが示されていない本症例では選びません。
e.バイタルサインの確認
正答。適切な対応です。
急速な腫脹では気道・呼吸・循環への影響を見逃さないため、バイタルサインを直ちに確認します。
覚えるポイント
- 抜歯直後の急速な腫脹では皮下気腫を鑑別します。
- バイタル確認と進展範囲の評価を優先します。
- 深部感染予防のため抗菌薬を投与します。