116B023|第116回 歯科医師国家試験 過去問
20 歳の女性。下顎右側大臼歯部の腫脹を主訴として来院した。3 か月前から 徐々に増大してきたという。同部は骨様硬で軽度の圧痛を認める。初診時の口腔内 写真(別冊No. 6A)、エックス線画像(別冊No. 6B)、CT(別冊No. 6C)、MRI(別 冊No. 6D)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 6E)を別に示す。 適切な治療はどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
顎骨腫瘍では、画像上の浸潤範囲と病理学的性質から、掻爬・辺縁切除・区域切除の適応を判断します。
解説
画像では下顎臼歯部に広がる多房性病変と皮質骨の膨隆・菲薄化がみられ、病理では疎な紡錘形・星芒状細胞が粘液様間質に分布しています。これは歯原性粘液腫に合致します。歯原性粘液腫は良性ですが骨髄内へ浸潤性に広がり、単純な摘出・掻爬では再発しやすいため、十分な安全域を確保した下顎区域切除術が適切です。
症例問題の解き方
若年者、下顎臼歯部、蜂巣状・テニスラケット状の多房性透過像、粘液様間質という情報を結びつけます。良性か悪性かだけでなく、局所浸潤性と再発率から切除範囲を決めます。
画像の確認
実画像では、下顎右側臼歯部が膨隆し、パノラマ像とCTで同部に隔壁を伴う広い骨透過性病変と皮質骨の膨張・菲薄化がみえる。MRIでは病変が不均一な信号を示し、病理像では淡い粘液様間質内に疎な紡錘形・星芒状細胞が散在している。局所的に広く骨内へ進展した病変であるため、正答の下顎区域切除術を支持する所見になる。
選択肢の確認
a.開窓後摘出
この条件では最も適切ではありません。
開窓後摘出は主に大きな囊胞性病変で減圧後に摘出する方法です。浸潤性の歯原性粘液腫では再発リスクが高く不十分です。
b.皮質骨除去術
この条件では最も適切ではありません。
皮質骨除去術だけでは骨髄内に広がる腫瘍を十分に除去できません。
c.下顎辺縁切除術
この条件では最も適切ではありません。
辺縁切除は下顎骨の連続性を温存しますが、本病変の広がりでは安全域確保が不十分となる可能性があります。
d.下顎区域切除術
正答。最も適切です。
浸潤性に広がる歯原性粘液腫を安全域ごと切除するため、下顎区域切除術が適切です。
e.放射線療法
この条件では最も適切ではありません。
歯原性粘液腫は放射線感受性が高い腫瘍ではなく、放射線療法は標準的治療ではありません。
覚えるポイント
- 歯原性粘液腫は粘液様間質に星芒状・紡錘形細胞。
- 画像は多房性で蜂巣状・テニスラケット状を示しうる。
- 局所浸潤性があり、広範病変では安全域を伴う切除を考える。