116D060第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

79 歳の男性。上顎前歯部口蓋側歯肉の疼痛を主訴として来院した。10 年以上に わたり就寝時に義歯を使用していたが、1 年前から家族の助言で夜間は外すように したところ、1 か月前から上顎前歯の動揺と起床時の痛みを感じるようになったと いう。初診時の口腔内写真(別冊No. 22A)、義歯装着時の口腔内写真(別冊No. 22 B)及びエックス線画像(別冊No. 22C)を別に示す。初診時の歯周組織検査結果の 一部を表に示す。 唇 側* 2 3 3 3 2 3 4 4 ⑤④ 4 5 3 2 3 3 3 2 歯 種 3 2 1 1 2 3 口蓋側* 3 3 3 3 3 3 ⑤ 4 ⑤⑤ 4 ⑤ 3 2 3 3 3 3 動揺度** 1 1 2 2 1 1 * :プロービング深さ(mm) 〇印 :プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 主訴の改善のためにまず行うのはどれか。1 つ選べ。

116D060の問題画像
解答・解説を見る

正解: b

正答

b

この問題のポイント

症状が義歯を外すようになってから出現したという時間関係から、夜間の咬合支持消失が上顎前歯部へ与える外傷を考えます。

解説

この患者では、夜間に義歯を外すようになった後、上顎前歯の動揺と起床時の口蓋側疼痛が生じています。義歯を外すと臼歯部の咬合支持が失われ、残存前歯へ過大な接触・外傷力が集中すると考えられます。

したがって主訴を速やかに改善するため、まず就寝時にも義歯を装着して咬合支持を回復します。これは一般的な義歯性口内炎予防の「夜間は外す」という指導の例外的対応です。清掃と粘膜休息の方法は別途調整します。

画像の確認

実画像では、義歯を外すと臼歯部咬合支持がほぼなく、挺出・傾斜した上下前歯だけが接触しやすい配置で、上顎前歯には動揺を伴う骨支持低下もみえる。義歯装着時には左右臼歯部に咬合接触が回復して前歯への力を分散できるため、夜間撤去後に起床時痛が出た経過ではまず就寝時にも義歯を装着する。

選択肢の確認

a.下顎前歯部の削合
誤り。下顎前歯部を不可逆的に削合する前に、症状発現の原因である咬合支持の有無を是正します。

b.就寝時の義歯装着
正答。まず行います。就寝時の義歯装着で臼歯部支持を回復し、上顎前歯部への外傷力を減らします。

c.上顎左側側切歯の歯冠補綴
誤り。上顎左側側切歯の歯冠補綴は原因となる夜間の咬合支持消失を解決しません。

d.所有している義歯を用いた咬合挙上
誤り。咬合挙上は新たな顎位変化を伴うため、現状の原因評価前に行う処置ではありません。

e.スケーリング・ルートプレーニング
誤り。スケーリング・ルートプレーニングは歯周炎への処置ですが、起床時疼痛を生じた直接要因への初手ではありません。

覚えるポイント

  • 経過の変化と生活行動を結び付けて考えます。
  • 本症例では夜間の義歯装着が例外的に適応です。
  • 一般論としての夜間撤去と症例固有の咬合支持を区別します。

関連問題

116D059116D061
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)