116D061|第116回 歯科医師国家試験 過去問
歯科臨床歯内療法学
左側上顎洞内のエックス線不透過像を指摘された患者のエックス線画像(別冊 No. 23A)と歯科用コーンビームCT(別冊No. 23B)を別に示す。上顎左側大臼歯 はすべて歯髄電気診で生活反応を示し、動揺や打診痛も認めない。 適切な対応はどれか。1 つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
上顎洞内のドーム状不透過像と、原因歯を示さない生活歯所見から、無症候性の粘液貯留囊胞を考えます。
解説
画像では上顎洞底から半球状に隆起する、境界明瞭で均一な不透過像がみられます。大臼歯はすべて生活歯で打診痛・動揺もないため、歯性炎症との関連は乏しい所見です。
このような**上顎洞粘液貯留囊胞〈偽囊胞〉**は偶然発見されることが多く、症状や増大傾向がなければ経過観察が基本です。上皮で囲まれた真の嚢胞とは異なります。
画像の確認
実画像では、上顎左側洞底から上方へ盛り上がる境界明瞭で均一な半球状不透過像があり、CBCT冠状・矢状断でも洞内壁に付着するドーム状病変としてみえる。隣接大臼歯根尖に歯性炎症を示す連続病変はなく、無症候性の典型的な粘液貯留囊胞像なので侵襲的処置をせず経過観察する。
選択肢の確認
a.経過観察
正答。最も適切です。無症候性で典型的なドーム状像を示し、原因歯もないため定期的に経過を確認します。
b.穿刺吸引
誤り。穿刺吸引は診断や減圧が必要な嚢胞性病変で検討しますが、典型的な無症候性貯留囊胞には不要です。
c.開 窓
誤り。開窓は顎骨内嚢胞などの減圧に用いる術式で、この病変の第一選択ではありません。
d.摘 出
誤り。摘出は症状、著明な増大、診断不確実性がある場合に検討しますが、本症例では侵襲が過大です。
e.上顎洞根治術
誤り。上顎洞根治術は侵襲が大きく、無症候性の粘液貯留囊胞には適応しません。
覚えるポイント
- 上顎洞底のドーム状不透過像は粘液貯留囊胞を考えます。
- 原因歯の生活反応を確認します。
- 無症候性なら経過観察が基本です。