117B059|第117回 歯科医師国家試験 過去問
基礎歯科医学病理・微生物・免疫
79 歳の女性。舌の違和感を主訴として来院した。尿路感染のため内科にて1 週 間抗菌薬投与を受けた後、症状が出現したという。肝硬変、骨粗鬆症の既往があ り、ビスホスホネート製剤を服用している。初診時の口腔内写真(別冊No. 19)を別 に示す。 この病変の誘因と考えられるのはどれか。2 つ選べ。

2つ選択
解答・解説を見る
正解: a・e
正答
a、e
この問題のポイント
高齢者で抗菌薬投与後に舌・口腔粘膜症状が出現した場合、口腔カンジダ症を考えます。
解説
抗菌薬によって口腔常在細菌叢が変化すると、Candidaが増殖する菌交代現象が起こります。また、唾液には洗浄、抗菌、粘膜保護作用があるため、唾液量の減少はカンジダ症の重要な誘因です。
画像では白苔が拭き取れるか、紅斑や舌乳頭萎縮があるかを確認します。治療では誘因の是正、義歯・口腔衛生管理、必要に応じた抗真菌薬を検討します。
全身管理上の注意点
高齢者では多剤服用、脱水、義歯使用、糖尿病、免疫低下も確認します。
画像の確認
実画像では、舌背後方に広い白色舌苔があり、舌前方から中央は赤く平滑で乳頭が減少したように見える。抗菌薬後の菌交代と唾液減少がこの白苔・紅斑性変化を起こしやすくするため、正答a・eにつながる。
選択肢の確認
a.菌交代現象
正しい。
抗菌薬投与により細菌叢が乱れ、Candidaが過剰増殖する菌交代現象が起こります。
b.ウイルス感染
誤り。
症例経過は抗菌薬投与後の真菌増殖を示唆し、ウイルス感染が中心ではありません。
c.肝機能の低下
誤り。
肝機能低下は全身状態に影響しますが、本症例で直接的な誘因として選ぶ項目ではありません。
d.骨密度の低下
誤り。
骨密度低下は口腔カンジダ症の直接的誘因ではありません。
e.唾液量の減少
正しい。
唾液量減少により洗浄作用と抗菌作用が低下し、Candidaが増殖しやすくなります。
覚えるポイント
- 抗菌薬投与後は菌交代現象に注意する。
- 唾液減少は口腔カンジダ症の誘因になる。
- 白苔、紅斑、義歯、全身疾患を確認する。