118A037|第118回 歯科医師国家試験 過去問
80 歳の男性。右側下顎体部の腫脹と疼痛を主訴として来院した。5 日前に硬固 物を咀嚼した後から腫脹と右側オトガイ神経麻痺を認めたという。頸部に腫大した リンパ節は触れない。初診時の顔貌写真(別冊No. 10A)、口腔内写真(別冊No. 10 B)、エックス線画像(別冊No. 10C)、造影CT(別冊No. 10D)、MRI 脂肪抑制T2 強調像(別冊No. 10E)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 10F)を別に示 す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
高齢者の下顎骨破壊性病変、疼痛、腫脹、オトガイ神経麻痺は悪性腫瘍を疑う所見です。確定診断は生検で行い、本症例は扁平上皮癌です。
解説
口腔領域の悪性腫瘍で最も多いのは扁平上皮癌です。下顎歯肉や顎骨内の病変では、骨浸潤により疼痛、歯の動揺、病的骨折、下唇・オトガイ部の知覚異常を生じることがあります。
症例問題の解き方
年齢、進行性腫脹、神経症状、骨破壊、病理での上皮性腫瘍像を順に確認します。
病理像で見るポイント
扁平上皮への分化、腫瘍胞巣、角化、細胞間橋、周囲組織への浸潤を確認します。画像と病理の具体像は提示資料で判定します。
画像の確認
実画像では、右下顎部に大きな腫脹があり、CTでは骨破壊と病的骨折を伴う腫瘤が広がっている。組織像に角化を伴う異型扁平上皮胞巣がみられ、扁平上皮癌を選ぶ正答cを支える。
選択肢の確認
a.骨肉腫
誤り。
悪性骨形成を特徴とし、病理では腫瘍性類骨を確認します。高齢者にも生じ得ますが、本症例の病理診断とは一致しません。
b.腺様囊胞癌
誤り。
唾液腺由来の悪性腫瘍で、篩状構造や神経周囲浸潤が特徴です。下顎骨病変の診断として選択されません。
c.扁平上皮癌
正しい。
口腔に最も多い悪性腫瘍で、骨浸潤と神経症状を生じ得ます。生検所見に基づく診断です。
d.悪性リンパ腫
誤り。
リンパ球系腫瘍で、病理では上皮性胞巣ではなく異型リンパ球の増殖を認めます。
e.多発性骨髄腫
誤り。
形質細胞腫瘍で、多発性の打ち抜き像、単クローン性免疫グロブリン、貧血などが手掛かりになります。
覚えるポイント
- 下顎の悪性病変でオトガイ神経麻痺は重要な警告所見です。
- 口腔悪性腫瘍では扁平上皮癌が最も多いです。
- 確定診断は病理組織検査で行います。