118C027第118回 歯科医師国家試験 過去問

基礎歯科医学口腔解剖・組織・発生

79 歳の男性。経口摂取を希望して脳神経内科からの紹介で来院した。半年前に 脳幹梗塞を発症し、現在は胃瘻で栄養管理されている。音声や構音障害は認めず嚥 下時の喉頭挙上は良好であったが、嚥下後に激しいむせを認めた。口腔機能時の顔 面写真(別冊No. 2A)、口腔機能時の口腔内写真(別冊No. 2B)及び唾液の嚥下を記 録した嚥下内視鏡検査の画像(別冊No. 2C)を別に示す。 むせの原因として考えられるのはどれか。2 つ選べ。

118C027の問題画像
2つ選択
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正解: d・e

正答

d、e

この問題のポイント

嚥下後の激しいむせは、嚥下後に咽頭・食道入口部付近へ残留した内容物が気道へ流入する嚥下後誤嚥を考えます。

解説

脳幹梗塞後で、喉頭挙上は良好なのに嚥下後にむせる場合、食道入口部の開大不全により下咽頭へ残留し、その残留物が呼吸再開時に喉頭へ流入する可能性があります。また、脳幹の嚥下中枢障害による嚥下運動パターンの協調異常も考えられます。

舌運動不良や鼻咽腔閉鎖不全は主に口腔期・咽頭への送り込みや鼻腔逆流に関係します。設問では音声・構音障害がなく、喉頭挙上も良好という情報が鑑別に役立ちます。

症例問題の解き方
むせが嚥下前、嚥下中、嚥下後のどの時点で起こるかを確認し、障害部位を推定します。

画像の確認

実画像Aの挺舌では舌尖の大きな偏位は目立たず、Bでは「ア」発声時に軟口蓋が挙上している。Cでは咽頭期のwhiteout後にも喉頭周囲に唾液が残っており、嚥下後に激しくむせる経過と合わせると、食道入口部の開大不全と嚥下運動パターンの異常を選ぶd、eに対応する。

選択肢の確認

a.舌運動不良
誤り。舌運動不良では食塊形成や口腔から咽頭への送り込みが障害されますが、嚥下後の激しいむせを最もよく説明しません。

b.咽頭収縮不良
誤り。咽頭収縮不良でも咽頭残留は生じ得ますが、本問の正答情報では食道入口部開大不全と嚥下運動パターン異常が原因として選ばれます。

c.鼻咽腔閉鎖不全
誤り。鼻咽腔閉鎖不全では鼻腔への逆流や開鼻声が生じやすく、嚥下後誤嚥の中心原因ではありません。

d.食道入口部開大不全
正しい。食道入口部が十分に開かないと下咽頭に残留し、嚥下後に気道へ流入してむせを生じます。

e.嚥下運動パターンの異常
正しい。脳幹梗塞では嚥下中枢の障害により、各運動の開始時期や協調が乱れ、嚥下後誤嚥につながります。

覚えるポイント

  • 嚥下後のむせは残留物による嚥下後誤嚥を考えます。
  • 食道入口部開大不全では下咽頭残留が生じます。
  • 脳幹病変では嚥下運動パターンの協調異常に注意します。

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