119C064|第119回 歯科医師国家試験 過去問
86 歳の男性。上顎右側臼歯部の疼痛を主訴として来院した。2 か月前に自覚し、 徐々に増悪してきたという。心房細動、2 型糖尿病、慢性腎臓病の既往があり、直 接トロンビン阻害薬とスルホニル尿素薬を服用している。診察の結果、上顎右側第 二小臼歯の抜去を行うこととした。初診時のエックス線画像(別冊No. 24)を別に示 す。医科への対診による血液検査の結果を表に示す。 赤血球: 400 万/μL 白血球: 3,700/μL 血小板: 36 万/μL eGFR: 35 ml/min/1.73 m2 HbA1c: 6.0% 抜歯時の適切な対応はどれか。2 つ選べ。

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正解: c・d
正答
c、d
この問題のポイント
スルホニル尿素薬服用患者では低血糖予防のため当日の食事摂取を確認し、eGFR 35では腎排泄を考えてアモキシシリンを減量・投与間隔調整します。
解説
本症例は慢性腎臓病があり、eGFRは35 ml/min/1.73 m2です。腎排泄型薬物は蓄積しやすいため、腎機能に応じて用量または投与間隔を調整します。
スルホニル尿素薬はインスリン分泌を促し、欠食時に低血糖を起こすことがあります。抜歯当日の食事と服薬を確認します。直接トロンビン阻害薬の作用評価にPT-INRは適さず、自己判断で休薬させません。
画像の確認
実画像のパノラマ像では多数の補綴歯と残根・欠損があり、上顎右側第二小臼歯は保存困難な状態で抜歯対象となっている。スルホニル尿素薬による低血糖を避けるため当日の食事摂取を確認し、eGFR 35の腎機能低下に合わせてアモキシシリン水和物を減量する。
選択肢の確認
a.血小板の補充
誤り。
血小板数は36万/μLで保たれており、血小板補充の適応ではありません。
b.PT-INR の測定
誤り。
PT-INRはワルファリンのモニタリングに用います。直接トロンビン阻害薬の抗凝固作用を適切に評価する検査ではありません。
c.当日の食事摂取状況の確認
正しい。
スルホニル尿素薬服用中の欠食は低血糖リスクを高めるため、当日の食事摂取状況を確認します。
d.アモキシシリン水和物の減量投与
正しい。
eGFR低下があるため、腎排泄されるアモキシシリンは用量または投与間隔を腎機能に合わせて調整します。
e.酸性非ステロイド性抗炎症薬の投与
誤り。
酸性非ステロイド性抗炎症薬は腎機能を悪化させ、出血リスクにも影響し得るため慎重に扱います。
覚えるポイント
- SU薬服用患者では食事と低血糖に注意します。
- DOACの評価にPT-INRをそのまま用いません。
- 腎機能低下では抗菌薬と鎮痛薬の用量・種類を見直します。