32PM119第32回 柔道整復師国家試験 過去問

柔道整復理論・外傷学軟部組織損傷末梢神経絞扼・下肢

39歳の男性。マラソンが趣味である。左大腿の筋肉痛で、図に示す締め付け圧が調整できるサポーターを装着して練習をしていた。強く締めたほうが効果があると感じ、できるだけ強めに締めていたところ、膝内側の疼痛と下腿内側の違和感が生じてきた。考えられるのはどれか。

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正解: 4

正答

4.ハンター管症候群

この問題のポイント

図では、大腿部から膝上にかけて、締め付け圧を調整できるサポーターを装着しています。
症例では、このサポーターを「できるだけ強めに」締めて練習した後に、膝内側の疼痛下腿内側の違和感が出現しています。

膝内側痛だけでなく、下腿内側の違和感を伴う点が重要です。
これは関節内障害よりも、神経の圧迫症状を考える所見です。

大腿内側のハンター管では、伏在神経が通過します。
サポーターの強い圧迫により伏在神経が刺激・絞扼されると、膝内側から下腿内側にかけて疼痛やしびれ、違和感が生じます。

したがって、考えられるのはハンター管症候群です。

画像所見

図では、大腿部に幅広いサポーターが巻かれており、膝関節の少し上まで圧迫が加わる位置にあります。
この部位は大腿内側の神経・血管が通る領域に近く、強く締めすぎると圧迫障害を起こす可能性があります。

本症例では、左大腿の筋肉痛に対してサポーターを装着し、強く締めた状態でマラソン練習を続けています。
その後に膝内側の疼痛と下腿内側の違和感が出ているため、膝関節そのものの障害よりも、伏在神経の圧迫による症状を考えます。

解説

ハンター管は、大腿内側にある筋膜性のトンネルで、内転筋管とも呼ばれます。
この中を大腿動脈、大腿静脈、伏在神経などが通過します。

伏在神経は大腿神経の枝で、主に感覚を担当します。
膝内側から下腿内側、足部内側にかけての感覚に関係するため、伏在神経が圧迫されると、膝内側痛や下腿内側のしびれ・違和感が出ることがあります。

この症例では、サポーターを強く締めすぎたことが誘因となり、ハンター管周囲で伏在神経が圧迫されたと考えられます。
そのため、選択肢の中ではハンター管症候群が最も適切です。

サポーターやテーピングは、強く締めれば効果が高くなるわけではありません。
しびれ、違和感、冷感、色調変化、疼痛増悪が出た場合は、圧迫が強すぎる可能性があります。

選択肢の確認

1.滑膜ヒダ障害
誤り。
滑膜ヒダ障害では、膝前内側部痛、引っかかり感、運動時痛などがみられることがあります。しかし、サポーターを強く締めた後に下腿内側の違和感が生じる病態としては説明しにくいです。

2.膝蓋軟骨軟化症
誤り。
膝蓋軟骨軟化症では、膝前面痛、階段昇降時痛、しゃがみ込み動作での痛みなどが問題になります。膝蓋大腿関節の障害であり、下腿内側の違和感を伴う神経圧迫症状とは合いません。

3.内側半月損傷
誤り。
内側半月損傷では、膝内側の関節裂隙痛、クリック、引っかかり感、ロッキングなどが重要です。膝をひねる外傷などで起こりやすく、今回のように大腿部の強い締め付け後に下腿内側の違和感が出る経過とは異なります。

4.ハンター管症候群
正しい。
ハンター管では伏在神経が通過します。サポーターの強い圧迫により伏在神経が刺激されると、膝内側痛や下腿内側の違和感が生じます。図のサポーター装着部位と症状の分布から、ハンター管症候群を考えます。

覚えるポイント

  • 大腿部の強い締め付け後に膝内側痛と下腿内側の違和感があれば、伏在神経の圧迫を考える。
  • ハンター管は大腿内側にある内転筋管である。
  • ハンター管には大腿動脈、大腿静脈、伏在神経が通る。
  • 伏在神経は膝内側から下腿内側の感覚に関係する。
  • サポーターやテーピングでしびれ・冷感・色調変化が出たら、締め付けすぎを疑う。
  • 膝内側痛に下腿内側の違和感を伴う場合は、半月損傷などの関節内障害だけでなく神経圧迫も考える。
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