34PM120|第34回 柔道整復師国家試験 過去問
25歳の男性。サッカーの練習中、ダッシュした際に左下腿内側に「ブチッ」という音とともに強い痛みを自覚したため直ちに来所した。患部に腫脹と圧痛がみられ、疼痛のためつま先立ちが不能である。来所時の対応で正しいのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、肉離れ(筋損傷)の急性期(受傷直後)の応急処置が問われています。
「ダッシュした際」「下腿内側」「ブチッという音」「つま先立ちが不能」という記述から、下腿三頭筋(とくに腓腹筋内側頭)の肉離れを強く疑います。いわゆるテニスレッグと呼ばれる損傷です。
受傷直後にまず行うのは、出血と腫脹を最小限に抑える処置です。
施術現場での注意点
急性期の軟部組織損傷では、整復や運動よりも先に、出血・腫脹・疼痛を抑えることを優先します。基本はRICE処置です。
解説
肉離れは、筋が急激に収縮または伸張されて、筋線維や筋膜が部分断裂・断裂する損傷です。
下腿三頭筋は、つま先立ち(足関節の底屈)に働く筋です。腓腹筋内側頭が損傷すると、底屈の力が出せず、つま先立ちが不能になります。受傷時の「ブチッ」という断裂音、腫脹、限局性圧痛は、筋損傷の典型的な所見です。
受傷直後の急性期は、損傷部から出血が起こり、放置すると腫脹が強くなります。そこで、急性期の応急処置としてRICE処置を行います。
RICEは次の4つの頭文字です。
- Rest(安静)
- Icing(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
冷却は血管を収縮させて出血と腫脹を抑え、疼痛をやわらげます。圧迫は内出血の拡大を防ぎ、挙上は患部への血流を減らして腫脹を抑えます。
ひっかけポイント
急性期に温める処置や患部を動かす処置を行うと、出血や腫脹が増悪します。「温熱」「他動運動」「通電」は、急性期の最初の対応としては不適切です。
選択肢の確認
1.温熱モードの超音波療法を行う。
誤り。
温熱は血管を拡張させ、急性期には出血と腫脹を増悪させます。受傷直後の処置としては不適切です。温熱療法は、急性炎症が落ち着いた回復期以降に検討します。
2.他動的に軽度足関節を動かす。
誤り。
受傷直後に足関節を動かすと、損傷した筋がさらに伸張・収縮され、断裂や出血を拡大させるおそれがあります。急性期は安静が原則です。
3.患部を冷却し、圧迫と挙上を行う。
正しい。
これはRICE処置の冷却・圧迫・挙上にあたります。出血と腫脹を抑え、疼痛を軽減する、急性期の基本的かつ適切な対応です。
4.患部に低周波通電療法を行う。
誤り。
低周波通電は筋を収縮させる刺激となり、急性期の損傷筋には不適切です。急性期は安静・冷却を優先し、通電などの物理療法は炎症が落ち着いてから段階的に行います。
覚えるポイント
- ダッシュ時の「ブチッ」+ つま先立ち不能 → 下腿三頭筋(腓腹筋内側頭)の肉離れを疑う。
- 軟部組織損傷の急性期はRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本。
- 急性期に温熱・他動運動・通電は出血や腫脹を増悪させるため避ける。
- 温熱療法や運動療法は、急性炎症が落ち着いた回復期以降に行う。