117B43|第117回 医師国家試験 過去問
38歳の男性。進行胃癌(胃体部)、両肺と腰椎転移あり。体力はある程度保たれており、今後抗癌化学療法と腰椎への放射線治療が計画されている。患者は「会社を辞めるべきか」「治療費や家族の生活が心配」と相談。 この患者への対応で誤っているのはどれか。
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正解: d
正解
d 退職して治療に専念するよう伝える。
解説
進行がんの患者から、就労や生活費について相談を受けたときに重要なのは、患者の価値観を尊重しながら治療と生活の両立を支援することである。
この患者は転移を有する進行胃癌ではあるが、体力はある程度保たれており、今後の治療計画も立っている。
したがって、医療者が一方的に「退職すべき」と決めてしまうのは不適切である。
なぜ d が誤りか
退職するかどうかは、患者本人の価値観、仕事内容、治療内容、家計、家族状況などを踏まえて決めるべき問題である。
医療者の役割は、患者の自己決定を支えることであって、生活上の重大な決断を押しつけることではない。
適切な対応
このような場面では、次の支援が重要になる。
- 病状や治療の見通しについて、患者がどの程度理解しているか確認する。
- 仕事を続けるうえで必要な配慮や、職場への伝え方を一緒に考える。
- 経済的不安や家族への心配に対して、心理的支援を行う。
- 医療ソーシャルワーカーなどと連携し、使える制度を案内する。
各選択肢の検討
a 患者の病状理解を確認する。
適切である。支援の前提として、まず病状と治療方針の理解を確認する必要がある。b 職場への伝え方を助言する。
適切である。就労継続や休職の調整には実際的な支援が重要である。c 不安を軽減させるための支援を行う。
適切である。心理面の支援は、治療継続にも生活維持にも重要である。d 退職して治療に専念するよう伝える。
誤りである。患者の自己決定を損ない、就労支援の考え方にも反する。e 利用可能な支援制度の情報提供を行う。
適切である。経済的不安がある以上、制度の情報提供は非常に重要である。
ひっかけポイント
「進行がんだから退職」と短絡的に考えるのは誤りである。
国試では、治療と就労の両立支援という視点が重視される。
覚えるポイント
医療者は退職を指示するのではなく、患者の意思決定と社会生活を支える。