118F65|第118回 医師国家試験 過去問

外科系脳神経外科脊髄・脊椎疾患

次の文を読み、以下の問いに答えよ。 35 歳の男性。高所からの転落のため救急車で搬入された。現病歴 : 本日、塗装作業中に3 m の高さから転落した際、頸部、背部および腰部を強打した。下肢が動かせないため同僚が救急車を要請した。既往歴 : 15 歳時に急性虫垂炎で手術。生活歴 : 妻、長男および次男と4 人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父親が認知症で加療中である。現 症 : 意識は清明。身長172 cm、体重75 kg。体温36.5 ℃。心拍数84/分、整。血圧130/62 mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。頸部から腰部にかけて疼痛を認めた。上肢の筋力は正常である。自力歩行はできない。両腸腰筋と大腿四頭筋の収縮は認められるが、関節運動は認めない。両足関節の自動運動も認めない。臍部から両下肢に感覚障害を認めた。膝蓋腱反射とアキレス腱反射は両側に減弱を認めた。 脊髄損傷の高位はどれか。

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正解: d

正解

d 第10胸髄

判断の軸

脊髄損傷の高位を考えるときは、まず 感覚障害の上端 を手掛かりにします。
本症例では 臍部から両下肢に感覚障害 があるとされています。

臍に対応する皮膚分節は T10 です。
したがって、損傷高位は 第10胸髄 と判断します。

この症例で迷いやすい点

下肢筋力低下や腱反射低下があるため、腰髄レベルを考えたくなることがあります。
しかし、急性脊髄損傷では 脊髄ショック によって反射が低下することがあり、これだけで損傷高位を腰髄とするのは不適切です。

この問題では、最も信頼しやすいのは 感覚レベル です。

各選択肢の整理

  • a 第6頸髄
    上肢障害が出やすく、本症例のように上肢筋力正常とは合いません。

  • b 第1胸髄
    上肢症状を伴う可能性があり、感覚障害の上端ももっと高くなるはずです。

  • c 第5胸髄
    感覚障害の上端は臍よりかなり上になります。

  • d 第10胸髄
    正解です。臍は T10 に相当します。

  • e 第1腰髄
    これでは臍部の感覚障害を説明しにくいです。

まとめ

脊髄損傷高位は、臍部 = T10 を手掛かりに判断します。
したがって正解は d 第10胸髄 です。

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