27PM21|第27回 精神保健福祉士国家試験 過去問
A高等学校では、保健体育の授業において、心の健康への意識を高め、共生社会への理解を深めることを目的として「こころの健康教育」を実施している。今回は近隣にあるB精神科病院のC精神保健福祉士と、精神障害当事者のDさん(63歳、男性)がゲストスピーカーとして招かれた。授業はC精神保健福祉士とDさんの対話形式で進められた。その中で、Dさんは精神科病院における35年の入院生活やグループホームへの退院、今の生活の様子を語った。Dさんからは、長年病院内で変化のない集団生活を続けたことで気力が失われ、退院を諦めるようになったこと。入院当初は強い思いであった退院を決断するのに長い時間を要したこと。退院した今は、地域に出て良かったと実感するといった気持ちが語られた。 次のうち、Dさんの語りから考えられる入院中の状態として、適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
長期の施設生活で自発性や意欲が失われ、退院への希望まで諦める状態は施設症です。病状だけでなく施設環境が人に与える影響を読み取ります。
解説
Dさんは35年間、変化の少ない集団生活の中で気力を失い、当初強かった退院希望まで諦めるようになりました。生活の細部を施設の規則や職員が決め、役割や選択の機会が減ると、依存性、無関心、自発性低下などの施設症が生じ得ます。これは本人の性格や精神疾患だけの結果ではなく、長期隔離的環境との相互作用です。支援では本人の希望を繰り返し確認し、小さな選択、地域との接点、体験利用、住居と支援を整えます。退院を急かさず、諦めを固定的意思とみなさないことが重要です。
選択肢の確認
1.施設症
正答。適切です。長期施設生活により意欲・主体性が低下し、地域生活を諦める状態です。
2.施設コンフリクト
誤り。施設と地域住民等の間で起こる対立を指し、本人の自発性低下ではありません。
3.トラウマ
誤り。圧倒的体験による心理的影響の概念ですが、事例は施設環境への長期適応を中心に示します。
4.スティグマ
誤り。否定的なラベルと差別の作用であり、施設生活による意欲低下の名称ではありません。
5.回転ドア現象
誤り。短期間の入退院を繰り返す現象で、35年の長期入院とは異なります。
覚えるポイント
施設症は「長期・画一的生活」「選択と役割の喪失」「自発性・意欲低下」です。本人ではなく環境側も評価し、地域生活の機会を回復します。