60AM045第60回 作業療法士国家試験 過去問

境界性パーソナリティ障害の患者に対する作業療法士の対応で適切なのはどれか。

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正解: 1

正答

1.作業による衝動の発散を行う。

この問題のポイント

境界性パーソナリティ障害(BPD)では、感情の調節困難と衝動性が中心的な課題です。作業療法においては、これらの症状を「昇華」として適切に導くことが治療的価値を持ちます。特に、衝動エネルギーを手工芸、スポーツ、創作活動などに発散させることで、感情の制御困難を軽減し、自己認識を高めることが期待されます。

解説

BPD患者は感情の変動が激しく、衝動的な行動を起こす傾向があります。この状況において、作業を通じて衝動エネルギーを「昇華」(発散)させることが有効です。たとえば、絵を描く、布を裁断する、スポーツを楽しむなどの作業は、感情の高まりを安全に放出する手段となり、治療的効果が期待されます。このアプローチは、患者の内面的な葛藤を外部の行動に変換し、感情の制御を支援します。

一方、他の選択肢は治療上のリスクを含みます。作業頻度を希望に応じて変更することは、患者の操作的行動を強化する可能性があり、治療の構造を乱す原因になります。陽性転移(治療者への理想化)を「利用」することは、依存や関係の崩壊を招くリスクがあります。また、人間の入れ替わりが頻繁な集団では、不安が増幅し、患者の不安定な関係構造を悪化させます。さらに、作業療法士への依存を通じて関係を築くことは、BPDの典型的な「依存-価値下がり」のサイクルを助長し、治療的効果を損ないます。

選択肢の確認

1.作業による衝動の発散を行う。:正しい。衝動エネルギーを安全に発散させることが治療的アプローチとして認められています。
2.作業療法の頻度は希望により変更する。:過度な自由は治療構造の乱れにつながる。
3.治療関係で生じる陽性転移を利用する。:陽性転移はリスクを伴い、関係の安定を損なう。
4.人の入れ替わりが多い集団を利用する。:不安が増幅し、治療効果を損なう。
5.作業療法士への依存を通して関係を築く。:依存は治療上の悪影響をもたらす。

覚えるポイント

BPDの作業療法では「衝動の昇華」が鍵。治療構造を一定に保ち、患者の感情を安全に外部に発散させることが最優先です。作業は「行動の代替」ではなく、感情の調整を支援する「治療的手段」として位置づけられます。

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