109Q220|第109回 薬剤師国家試験 過去問
89 歳女性。体重40 kg。高血圧症及び慢性心不全に対して処方1 で薬物治 療を行っている。独居で入院拒否があるため、医師と薬剤師、看護師が訪問してい る。最近、下腿浮腫が出現し、労作時の息苦しさや疲労感が強くなってきたため、 血液検査を実施したところ、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N 端フラグメン ト(NT︲proBNP)値が3 ケ月前の450 pg/mL から下記の検査値になっていた。 (処方1 ) エナラプリルマレイン酸塩錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) ビソプロロールフマル酸塩錠0.625 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) アゾセミド錠60 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) スピロノラクトン錠50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 朝食後 14 日分 (検査値) Na 141 mEq/L、K 4.8 mEq/L、eGFR 54 mL/min/1.73 m 2、 NT︲proBNP 1,180 pg/mL ※ なお、NT︲proBNP 値900 pg/mL 以上は治療対象となる心不全の可能性が 高い。 その後、訪問医は継続中だった処方1 のうち、エナラプリルのみを中止して、新 たに処方2 を追加した。 (処方2 ) サクビトリルバルサルタンNa 水和物錠50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠) 1 日2 回 朝夕食後 7 日分 下図は、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の生成と代謝の過程を示してい る。BNP は、mRNA からBNP 前駆体タンパク質として翻訳された後、切断され て血中に分泌される。サクビトリルが阻害する酵素ネプリライシンの作用部位は、 切断1 ~3 のいずれかである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 切断1 134 1 BNP 前駆体タンパク質 切断2 1 26 134 27 ペプチドA 切断3 134 103 27 102 BNP ペプチドB 134 107 106 103 ペプチドC

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正解: 1・4
正答
1・4
この問題のポイント
公式図のアミノ酸番号を追い、proBNPからNT-proBNPとBNPが生じる切断と、ネプリライシンによるBNP分解を区別します。
解説
心室壁への負荷で主に心室からpreproBNPが産生されます。切断1でシグナルペプチドA(1〜26)が外れproBNP(27〜134)となり、切断2で不活性なNT-proBNP=ペプチドB(27〜102)と活性型BNP(103〜134)に分かれます。ネプリライシンは活性型BNPを切断3で分解します。NT-proBNPはBNPより血中半減期が長く安定ですが、生理活性をもたずナトリウム利尿を直接促進しません。
選択肢の確認
1.BNP とNT︲proBNP は、主に心室から分泌される。:正答です。心室負荷を反映します。
2.NT︲proBNP は、図のペプチドAである。:ペプチドAはシグナルペプチドで、NT-proBNPはペプチドBです。
3.BNP は、NT︲proBNP よりも血液中での安定性が高い。:NT-proBNPの方が半減期が長く安定です。
4.ネプリライシンの作用部位は、切断3 である。:正答です。BNPを分解する切断です。
5.NT︲proBNP は、BNP と同様に腎臓に作用してNa + の尿中への排出を促進する。:NT-proBNPは不活性断片で、直接のナトリウム利尿作用をもちません。
覚えるポイント
NT-proBNPは安定な不活性指標、BNPは活性型でネプリライシンにより分解されます。