110Q157第110回 薬剤師国家試験 過去問

63 歳男性。慢性心不全と診断され、治療中である。その他の既往歴及び常 用薬はない。 服薬は正しく継続され、副作用もみられなかったが、1 ケ月前から労作時の息切 れが徐々に増悪するようになった。2 ~3 日前からは安静時にも息苦しさを自覚す るようになり、昨夜突然、強い咳を伴った呼吸困難が出現したため救急搬送され た。下肢に浮腫が認められ、血圧は88/60 mmHg であった。心臓超音波検査を 行ったところ、左室駆出率(LVEF)は30%に低下していた。さらに、胸部X 線 検査により肺うっ血と軽度な心拡大の所見が認められ、慢性心不全の急性増悪と診 断され入院となった。この患者の来院時の病態及び症状に関する記述として、正し いのはどれか。2つ選べ。

2つ選択
解答・解説を見る

正解: 2・4

正答

2・4

この問題のポイント

左室収縮不全による急性増悪では、肺うっ血、起坐呼吸、低心拍出、心筋伸展に伴うナトリウム利尿ペプチド上昇がみられます。

解説

LVEF 30%は左室収縮機能低下を示し、肺静脈圧上昇により肺うっ血、呼吸困難、咳が生じています。仰臥位では下肢・腹部から胸腔への静脈還流が増え、肺うっ血が悪化するため、上体を起こすと楽になる起坐呼吸がみられます。心房・心室壁の伸展によりANP・BNPの分泌が亢進します。下肢浮腫がある状況で右心機能を正常と断定できません。低血圧・低心拍出では腎血流が低下し尿量は減り得ます。ST上昇は急性心筋梗塞などの所見で、心不全そのものの必須所見ではありません。

選択肢の確認

1.右心機能は正常である。:下肢浮腫もあり、正常とは断定できません。
2.心臓からのナトリウム利尿ペプチドの分泌が亢進している。:正答。心筋壁伸展でANP・BNPが増えます。
3.心電図でST 上昇が認められる。:心不全急性増悪の必須所見ではありません。
4.呼吸症状は、起坐位よりも仰臥位で増悪する。:正答。静脈還流増加による起坐呼吸です。
5.尿量は増加している可能性が高い。 一般問題(薬学理論問題) 【薬理】:低心拍出・腎血流低下で減少し得ます。

覚えるポイント

左心不全=肺うっ血・起坐呼吸、心筋伸展=BNP上昇、低心拍出=乏尿方向です。

110Q156110Q158
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)