109Q285|第109回 薬剤師国家試験 過去問
43 歳男性。妻38 歳、長男4 歳。フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ 性白血病のため大学病院血液内科にて化学療法中(シクロホスファミド、ビンクリ スチン、ドキソルビシン、デキサメタゾン)である。また、化学療法に伴う副作用 軽減のため、処方1 の薬剤を服用している。右眼に霧視が発現したため、近隣の眼 科を受診した。網膜浮腫と周辺部の血管炎があり、大学病院眼科にて精査のため入 院となった。化学療法実施中であり、眼底所見から、サイトメガロウイルス網膜炎 と診断され、ガンシクロビル点滴静注600 mg/day の投与が開始された。 (検査所見) 白血球4,360/μL、好中球2,065/μL、リンパ球1,720/μL、好塩基球490/μL、 CMV 抗体陽性、Hb 12 g/dL、右眼の矯正視力は今回受診時測定不能、 左眼1.2、HbA1c 8.7%、CCr 61 mL/min (処方1 ) オルメサルタン口腔内崩壊錠10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) フェブキソスタット錠20 mg 1 回3 錠(1 日3 錠) ラベプラゾールNa 錠10 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) フルコナゾールカプセル100 mg 1 回1 個(1 日1 個) 1 日1 回 朝食後 眼内の炎症が改善したため、処方2 の薬剤の服用による治療となった。 (処方2 ) バルガンシクロビル錠450 mg 1 回2 錠(1 日4 錠) 1 日2 回 朝夕食後 7 日分 1 週間服用後、同一の内服薬を14 日分処方され、退院となった。 前問で処方された内服薬は、注射剤であるガンシクロビルの消化管吸収を改善す ることによって経口製剤化した医薬品である。有効成分の吸収に影響する因子を考 慮するために、構造式及び物性値から主たる吸収改善の機構を推定した。最も適当 なのはどれか。1つ選べ。 バルガンシクロビル塩酸塩の構造式: H2N OH O O O H H2N N N N N ・HCl O pKa:約7.6 分配係数:0.0095(1︲オクタノール/pH 6.96 緩衝液)

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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
バルガンシクロビルはガンシクロビルへL-バリンを付加し、腸管ペプチドトランスポーターPEPT1の基質とした吸収改善型プロドラッグです。
解説
ガンシクロビルは極性が高く、経口吸収が不十分です。バルガンシクロビルはガンシクロビルのL-バリルエステルで、アミノ酸・ペプチド様構造を与えることで小腸上皮のH+共輸送型ペプチドトランスポーターPEPT1に認識され、取り込まれやすくなります。吸収後にエステラーゼで加水分解され、活性体ガンシクロビルになります。塩酸塩化だけによる溶解性改善が本質ではなく、分配係数も低いため単純な疎水性増加による受動拡散では説明できません。腸内細菌による活性化やP-糖タンパク質による吸収促進でもありません。
選択肢の確認
1.塩の形成による溶解性の改善:主たる吸収改善機構ではありません。
2.疎水性を高めることによる受動輸送の改善:分配係数が低く、主機構ではありません。
3.腸内細菌による活性体への変換:吸収後に酵素的に加水分解されます。
4.ペプチドトランスポーターの基質となる化学修飾:正答。L-バリン付加でPEPT1を利用します。
5.P︲糖タンパク質による能動輸送の促進:P-糖タンパク質は一般に排出方向へ働きます。
覚えるポイント
バルガンシクロビル=L-バリルエステル化→PEPT1利用→吸収後ガンシクロビルへ変換です。