109Q286第109回 薬剤師国家試験 過去問

86 歳男性。76 歳時に妻と死別し独居中であるが、近所に住む娘が介護に あたってきた。死別5 年後の81 歳の頃から、徐々に物忘れが出現し、時々つじつ まが合わない発言があったが放置していた。84 歳頃より、物忘れがひどくなり、 一人になると不安感が強くなった。娘の姿が見えないと、すぐに名前を呼び、片時 も離れられない状況になったため、物忘れ外来を受診した。来院時、新しいことが 覚えられず、取り繕うような話し方であった。尿失禁や歩行障害はなし。長谷川式 簡易知能評価(HDS︲R)は30 点満点中18 点であった。頭部CT で海馬の萎縮を 指摘されたが、梗塞巣所見はなく、血液検査も異常はなかった。また、この男性は 不整脈に対して服薬しており、骨粗しょう症の治療のため3 年前から昨年までの 24 ケ月間テリパラチド皮下注キットによる治療が実施された。 現在の処方は以下のとおりである。 (処方1 ) ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 起床時 (処方2 ) ワルファリンカリウム錠1 mg 1 回2 錠(1 日2 錠) 1 日1 回 起床時 この患者の経過及び処方から考えられる疾患はどれか。2つ選べ。

2つ選択
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正解: 1・3

正答

1・3

この問題のポイント

ワルファリンの適応と、進行性の近時記憶障害・取り繕い・海馬萎縮・ドネペジルから疾患を判断します。

解説

高齢者の不整脈にワルファリンを継続する代表的な目的は、心房細動に伴う心原性脳塞栓症の予防です。心室性期外収縮だけを理由に通常ワルファリンは用いません。認知症は、徐々に進行する近時記憶障害、新しいことを覚えられない、取り繕い、海馬萎縮、梗塞巣なしという所見からアルツハイマー型が考えられ、ドネペジル処方も整合します。血管性認知症なら脳血管障害と段階的悪化、レビー小体型なら認知機能変動、具体的幻視、パーキンソニズム等が手掛かりです。本例にはそれらの典型所見が示されていません。

選択肢の確認

1.心房細動:正答。ワルファリンによる塞栓予防が考えられます。
2.心室性期外収縮:通常、ワルファリンの適応理由ではありません。
3.アルツハイマー型認知症:正答。臨床経過と海馬萎縮が一致します。
4.血管性認知症:梗塞巣や段階的悪化が示されません。
5.レビー小体型認知症:幻視やパーキンソニズム等が示されません。

覚えるポイント

海馬萎縮+進行性近時記憶障害はアルツハイマー型、AF+ワルファリンは塞栓予防です。

110Q090109Q287
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