109Q287|第109回 薬剤師国家試験 過去問
86 歳男性。76 歳時に妻と死別し独居中であるが、近所に住む娘が介護に あたってきた。死別5 年後の81 歳の頃から、徐々に物忘れが出現し、時々つじつ まが合わない発言があったが放置していた。84 歳頃より、物忘れがひどくなり、 一人になると不安感が強くなった。娘の姿が見えないと、すぐに名前を呼び、片時 も離れられない状況になったため、物忘れ外来を受診した。来院時、新しいことが 覚えられず、取り繕うような話し方であった。尿失禁や歩行障害はなし。長谷川式 簡易知能評価(HDS︲R)は30 点満点中18 点であった。頭部CT で海馬の萎縮を 指摘されたが、梗塞巣所見はなく、血液検査も異常はなかった。また、この男性は 不整脈に対して服薬しており、骨粗しょう症の治療のため3 年前から昨年までの 24 ケ月間テリパラチド皮下注キットによる治療が実施された。 現在の処方は以下のとおりである。 (処方1 ) ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 起床時 (処方2 ) ワルファリンカリウム錠1 mg 1 回2 錠(1 日2 錠) 1 日1 回 起床時 男性は、次第に歩行が拙劣になり、夜間にトイレでつまづいて転倒し、腰椎圧迫 骨折と診断された。痛みのため歩行や長時間の起き上がりは困難でありベッド上の 生活となった。ヘルパーの介助を受け服薬しているが、ヘルパーのいない起床時の 薬は自分ではほぼ服用できていない。 この状況を踏まえ、在宅医療サービス担当者会議が開催された。 この患者に追加する治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 3・5
正答
3・5
この問題のポイント
服薬介助が難しく、新たな椎体骨折を起こした男性です。既にテリパラチドを24か月使用しているため、間欠注射で継続しやすい骨吸収抑制薬を選びます。
解説
デノスマブは抗RANKL抗体で6か月に1回皮下注、ゾレドロン酸は強力なビスホスホネートで骨粗鬆症では年1回点滴静注でき、毎日の内服が困難な本例に適します。開始前後には低Ca血症、腎機能、口腔状態等を確認し、デノスマブ中止時は反跳性骨折を避ける後続治療も計画します。メナテトレノンは経口薬で、ワルファリンの抗凝固作用にも拮抗するため不適切です。ラロキシフェンは閉経後女性が対象です。テリパラチドは既に24か月投与されており、さらに追加する選択ではありません。
選択肢の確認
1.メナテトレノンカプセル:ワルファリンへ拮抗し、服薬困難にも適しません。
2.ラロキシフェン塩酸塩錠:閉経後女性が対象で、本例には適しません。
3.デノスマブ(遺伝子組換え)皮下注:正答。6か月ごとに投与できます。
4.テリパラチド(遺伝子組換え)皮下注:既に24か月の治療を完了しています。
5.ゾレドロン酸水和物注射液:正答。年1回投与が可能です。
覚えるポイント
アドヒアランス不良の骨粗鬆症では投与間隔の長い注射薬を検討し、ワルファリンとの相互作用も見ます。