61PM003|第61回 理学療法士国家試験 過去問
70 歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom 法ステージは上肢Ⅱ、下肢 Ⅲ。重度の感覚障害と右肩関節に亜脱臼を認める。T 字杖で室内歩行は自立してい る。 ADL 指導で最も正しいのはどれか。

解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.シャツを着る
この問題のポイント
重度の上肢麻痺(Brunnstrom Ⅱ)で感覚障害と肩亜脱臼がある場合、ADL指導では「安全性」と「機能的自立」の両立が最優先。特に上肢への負荷や牽引を避け、麻痺側の損傷リスクを最小限に抑えることが求められる。
解説
脳梗塞後の右片麻痺で、上肢はBrunnstromステージⅡ(運動機能が極めて限られており、意図的運動が困難)。感覚障害により、動作のフィードバックが欠如し、肩関節の亜脱臼リスクが高まる。このような状態では、自立した日常生活動作(ADL)の指導においては、麻痺側上肢への負担を避けることが極めて重要である。
T字杖で室内歩行は自立しているが、上肢の機能が極めて限られているため、動作選択は「安全性」と「実用性」のバランスを重視する。更衣(シャツ着用)は、座位で麻痺側から袖を通す(着患脱健)という手順により、患側上肢を動かさず、肩への負荷を回避できる。これにより、亜脱臼のリスクを低減しつつ、自立した動作が実現できる。
一方、ベット上の起き上がり(1)は、麻痺側を下にした不自然な姿勢で、肩を圧迫し亜脱臼を悪化させるリスクがある。浴槽に入る(2)は感覚障害によりバランスが崩れやすく、転倒・熱傷のリスクが高い。床から立ち上がる(4)は、麻痺側上肢の支持が困難で、負荷が集中する。階段を上る(5)は、下肢の運動機能(Ⅲ)が限られており、バランスの維持が困難で転倒リスクが高い。
選択肢の確認
1.①:肩を圧迫する不適切な姿勢で、亜脱臼リスクが高い。
2.②:感覚障害によりバランスが崩れやすく、安全ではない。
3.③:麻痹側から袖を通すことで、肩への負荷を回避できる。正解。
4.④:麻痹側上肢の支持が困難で、負荷が集中する。
5.⑤:下肢の運動機能が限られており、バランスが取れず危険。
覚えるポイント
「着患脱健」(着るときは患側から、脱ぐときは健側から)を守り、麻痺側上肢への負荷を避けることが、重度の上肢麻痺で最も安全なADL指導となる。特に肩亜脱臼がある場合は、動作の選択に「負荷の有無」と「バランス」を常に意識する。