第109回
109AM011|第109回 保健師国家試験 過去問
文部科学省が実施する学校保健統計調査で正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解3
正答
3.学校で実施する健康診断の結果に基づいている。
この問題のポイント
主要な保健統計のうち、学校保健統計調査について、実施主体、資料、調査方法、時期、集計する内容を問う問題です。学校保健統計調査は、学校保健安全法に基づく定期健康診断の結果を資料にしています。抽出した学校の幼児・児童・生徒について、発育と健康の状態を毎年把握する標本調査です。全数調査か標本調査か、いつ行うか、何を集計しているかを、他の統計と区別できるかが鍵になります。
解説
学校保健統計調査の基本
- 実施主体は文部科学省で、統計法に基づく基幹統計調査です。
- 目的は、学校における幼児・児童・生徒の発育と健康の状態を明らかにすることです。
- 対象は、幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校のうち、文部科学大臣があらかじめ指定した学校に在籍する満5歳から17歳の者です。
- 方法は、学校を抽出して行う標本(抽出)調査です。
- 資料は、各学校が学校保健安全法(第13条)に基づいて実施した定期健康診断の結果です。調査のために新たに測定や検査をするのではなく、健康診断の記録から該当項目を報告してもらう仕組みです。
調査時期は健康診断の時期と一致する
学校保健安全法施行規則では、児童生徒等の定期健康診断を「毎学年、6月30日までに」行うと定めています。学校保健統計調査はこの結果を使うので、調査期間も原則として4月1日から6月30日です。新型コロナウイルス感染症の影響で健康診断が延期された年度には、年度末までに実施された健康診断の結果を用いたことがあります。その場合も、秋の特定の月に行う調査に変わったわけではありません。
何が集計されるか
- 発育状態:身長、体重。身長と体重から算出する肥満度で、肥満傾向児と痩身傾向児の割合も示されます。座高は健康診断の必須項目から外れたため、現在は調査されていません。
- 健康状態:栄養状態、脊柱・胸郭・四肢の状態、裸眼視力、眼の疾病・異常、難聴、耳鼻咽頭疾患、皮膚疾患、歯・口腔の疾病・異常(むし歯など)、結核、心電図異常、蛋白検出、尿糖検出、ぜん息、腎臓疾患などです。
健康状態の数値は、医療機関での確定診断による有病率ではありません。健康診断で疾病・異常を指摘された者の割合です。長期的な傾向として、むし歯のある者の割合は減少し、裸眼視力1.0未満の者の割合は増加しています。
学校管理下の事故・死亡は別の統計
学校の管理下で起きた負傷や死亡は、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付の資料で把握されます。児童生徒の死亡全体は厚生労働省の人口動態統計で把握されます。児童生徒の自殺は、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」でも扱われます。
保健師の実践とのつながり
学校保健統計調査は、学齢期の肥満、視力、むし歯などの動向を全国や都道府県で比較する基礎資料です。地域診断で学齢期の健康課題を捉えるときや、学校保健と地域保健が連携して事業を企画するときに使います。どの統計が「誰を」「何を資料に」「全数か抽出か」「いつ」調べているかを整理しておくと、統計を読み違えずに活用できます。
選択肢の確認
1.悉皆調査である。:学校保健統計調査は、文部科学大臣があらかじめ指定した学校を対象とする標本(抽出)調査です。全国のすべての児童生徒を調べる悉皆(全数)調査ではありません。取り違えやすいのは、同じ文部科学省の学校基本調査です。こちらは学校数や在学者数などを把握する全数調査です。国勢調査、人口動態調査、医療施設静態調査も全数調査の代表例として押さえておきます。
2.毎年10月に行われる。:毎年実施する点は正しいのですが、時期が違います。調査は定期健康診断の実施期限(6月30日)に合わせ、原則4月1日から6月30日に行います。10月に行う統計には、国勢調査(10月1日)、患者調査(3年ごと、10月)、医療施設静態調査(3年ごと、10月1日)があり、これらと混同しないようにします。国民健康・栄養調査は11月、国民生活基礎調査は6月と7月です。
3.学校で実施する健康診断の結果に基づいている。:正答。学校保健安全法に基づいて各学校が実施した定期健康診断の結果を資料にし、発育状態(身長・体重)と健康状態(視力、むし歯、耳鼻咽頭疾患、心電図異常、蛋白検出など)を集計しています。
4.学校管理下で死亡した児童生徒数が集計されている。:この調査が対象にするのは在籍する幼児・児童・生徒の発育と健康状態で、死亡は集計項目に含まれません。学校管理下の死亡や負傷は、日本スポーツ振興センターの災害共済給付の資料で把握されます。「学校」という語が共通するため、学校安全に関する統計と取り違えないよう注意します。
覚えるポイント
- 学校保健統計調査は、文部科学省が毎年行う基幹統計調査で、学校の定期健康診断の結果を資料とします。
- 調査方法は標本(抽出)調査です。同じ文部科学省でも学校基本調査は全数調査です。
- 調査期間は原則4月1日〜6月30日で、定期健康診断の期限「6月30日まで」と一致します。
- 集計内容は発育状態(身長・体重、肥満傾向児・痩身傾向児)と健康状態(裸眼視力、むし歯、耳鼻咽頭疾患、心電図異常、蛋白検出など)です。むし歯は減少傾向、裸眼視力1.0未満は増加傾向です。
- 学校管理下の事故・死亡は日本スポーツ振興センター(災害共済給付)、死亡全体は人口動態統計で把握します。
- 調査時期の対比として、10月は国勢調査・患者調査・医療施設静態調査、11月は国民健康・栄養調査、6〜7月は国民生活基礎調査です。
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