76PM28|第76回 診療放射線技師国家試験 過去問
PET におけるtime-of-flight〈TOF〉で正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、PET の **time-of-flight〈TOF〉**の原理が問われています。
TOF-PET では、対向する検出器に到達した 2 本の消滅 γ 線の 到達時間差を利用します。
これにより、消滅 γ 線が発生した位置を、同時計数線〈LOR〉上の特定の範囲に絞り込むことができます。
解説
PET では、陽電子が電子と対消滅し、ほぼ 180 度反対方向に 511 keV の消滅 γ 線を 2 本放出します。
通常の PET では、この 2 本の γ 線を同時計数することで、放出位置が 2 つの検出器を結ぶ直線上にあると判断します。この直線を **LOR〈line of response〉**といいます。
TOF-PET では、2 本の γ 線が左右の検出器に到達する時間差を測定します。
発生位置が LOR の中央からずれていれば、片方の検出器へは早く到達し、もう片方へは遅く到達します。
この時間差から、消滅 γ 線の発生位置を LOR 上のある範囲に絞り込めます。
位置不確かさは、おおまかに次の式で表されます。
Δx = cΔt / 2
- Δx:位置不確かさ
- c:光速
- Δt:時間分解能
TOF は、画像ノイズ低減や実効感度の向上、逐次近似再構成の収束改善に寄与します。ただし、装置の幾何学的な空間分解能そのものを直接高める技術ではありません。
また、TOF には時間分解能に優れたシンチレータが適しています。BGO は発光減衰時間が比較的長いため、TOF に最適とはいえません。
ひっかけポイント
TOF は「どの直線上か」だけでなく、その直線上の どのあたりかを絞り込む技術です。
ただし、空間分解能そのものを直接向上させるというより、ノイズ低減や画像再構成の改善に寄与します。
選択肢の確認
1.誤り。
TOF は主にノイズ低減、実効感度向上、再構成の改善に寄与します。装置固有の空間分解能そのものを直接向上させる技術としては不適切です。
2.誤り。
TOF には時間分解能に優れたシンチレータが適しています。BGO は発光が遅く、TOF に適した代表的シンチレータとはいえません。
3.誤り。
TOF 情報を用いると、逐次近似再構成の収束はむしろ速くなりやすいです。収束が遅くなるという記述は逆です。
4.正しい。
TOF は 2 本の消滅 γ 線の到達時間差を利用して、発生位置を同時計数線上の特定の範囲に絞り込みます。
5.誤り。
TOF の実効感度の増幅効果は、一般に被写体径が大きいほど大きくなります。被写体が小さいほど大きいという記述は不適切です。
覚えるポイント
- TOF-PET は、消滅 γ 線の 到達時間差を利用します。
- 発生位置を LOR 上の範囲に絞り込めます。
- 位置不確かさは Δx = cΔt / 2で考えます。
- TOF はノイズ低減、実効感度向上、再構成の収束改善に有用です。
- TOF には時間分解能に優れたシンチレータが適しています。