76PM65第76回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線の生物学的効果と放射線治療LETと生物学的効果

放射線による殺細胞効果で正しいのはどれか。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

この問題では、放射線の殺細胞効果に関係する LET、RBE、酸素効果、細胞生存率曲線、α/β 値が問われています。

正しいのは、高 LET 放射線では酸素存在下と無酸素下の差が低 LET 線より小さいという記述です。

これは、高 LET 放射線では 酸素効果が小さいことを意味します。

解説

LET〈linear energy transfer〉は、放射線が単位長さあたりにどれだけエネルギーを付与するかを表します。

一般に、

  • 低 LET 放射線
    X 線、γ 線、電子線など

  • 高 LET 放射線
    α 線、重粒子線、中性子線など

に分けて考えます。

低 LET 放射線では、細胞生存率曲線に肩がみられます。これは、低線量域で亜致死損傷の修復が起こりやすいことを反映します。

一方、高 LET 放射線では、DNA に密な損傷を与えやすく、細胞生存率曲線はより直線的になりやすいです。また、細胞周期依存性や酸素効果は低 LET 放射線より小さくなります。

酸素効果とは、酸素が存在することで放射線による DNA 損傷が固定され、殺細胞効果が高くなる現象です。

低 LET 放射線では酸素効果が大きく、酸素存在下と低酸素・無酸素下で細胞生存率に差が出やすくなります。

しかし、高 LET 放射線では直接的で複雑な DNA 損傷が多いため、酸素の有無による差が小さくなります。

ひっかけポイント
高 LET 放射線では、酸素がなくても殺細胞効果が比較的保たれます。
つまり、OER〈酸素増感比〉は低 LET 放射線より小さいと覚えます。

選択肢の確認

1.誤り。
LET が高くなると RBE はある程度まで増加しますが、過度に高 LET になるとオーバーキルにより RBE は頭打ちまたは低下します。単純に「LET が高いほど RBE も高くなる」とは言い切れません。

2.誤り。
低 LET 放射線の細胞生存率曲線は、一般に肩を持つ曲線になります。直線的な細胞生存率曲線を示しやすいのは高 LET 放射線です。

3.誤り。
高 LET 放射線では、細胞周期による放射線感受性の差は低 LET 放射線より小さくなります。細胞周期に大きく依存するという記述は不適切です。

4.誤り。
α/β 値が小さい組織や細胞は、1 回線量の変化の影響を受けやすい性質があります。1 回当たりの線量による影響が小さいという記述は逆です。

5.正しい。
高 LET 放射線では酸素効果が小さいため、酸素存在下と無酸素下の細胞生存率曲線の差は低 LET 放射線に比べて小さくなります。

覚えるポイント

  • 低 LET 放射線は X 線、γ 線、電子線です。
  • 高 LET 放射線は α 線、重粒子線、中性子線などです。
  • 低 LET 放射線では細胞生存率曲線に肩が出やすいです。
  • 高 LET 放射線では細胞生存率曲線が直線的になりやすいです。
  • 高 LET 放射線では 酸素効果が小さいです。
  • α/β 値が小さい組織は、1 回線量の影響を受けやすいです。

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