77AM80|第77回 診療放射線技師国家試験 過去問
乳房用 X 線装置で正しいのはどれか。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、乳房用 X 線装置の構造と撮影特性が問われています。
正しいのは、ヒール効果を利用し乳房全体の線量均一化を行っているという記述です。
乳房は胸壁側が厚く、乳頭側が薄い構造です。
そのため、X 線強度が強い陰極側を胸壁側に、X 線強度が弱い陽極側を乳頭側に配置することで、乳房全体の受像面線量を均一化しやすくしています。
解説
乳房撮影では、微小石灰化や腫瘤などの微細な病変を描出する必要があります。
そのため、乳房用 X 線装置には、一般撮影装置とは異なる特徴があります。
代表的な特徴は次の通りです。
- 小焦点を用いる。
- 低管電圧を用いる。
- 乳房専用のターゲット・フィルタを用いる。
- 圧迫板を用いて乳房を薄く均一にする。
- ヒール効果を利用して線量分布を調整する。
X 線管では、陽極側と陰極側で X 線強度が異なります。
陽極側では、発生した X 線がターゲット内を長く通過するため、強度が低下します。
一方、陰極側では比較的強度が高くなります。
この現象をヒール効果といいます。
乳房撮影では、厚い胸壁側に X 線強度が高い陰極側を対応させ、薄い乳頭側に X 線強度が低い陽極側を対応させることで、乳房全体の線量を均一化します。
ひっかけポイント
ヒール効果は一般撮影では線量不均一の原因になります。
しかし、乳房撮影では乳房の厚さ差を補うために、あえて利用されます。
乳房用 X 線装置の材料
乳房撮影では、低エネルギー X 線を有効に利用するため、ターゲットやフィルタに Mo、Rh、W などが用いられます。
ただし、X 線放射口の窓材としては、X 線吸収の少ない Be などが用いられます。
Al は一般撮影でのろ過に関係しますが、乳房用 X 線装置の陽極ターゲットとして標準的に用いる材料ではありません。
選択肢の確認
1.誤り。
Rh は乳房撮影でターゲットやフィルタとして用いられることがあります。
しかし、X 線放射口の窓材として Rh が用いられるという記述は適切ではありません。
放射口の窓材には、X 線吸収の少ない Be などが用いられます。
2.誤り。
乳房用 X 線装置では管電流、管電圧、照射時間、線量出力などの精度管理が重要です。
しかし、「管電流の精度は±10%以内である」という記述は、この問題の正答としては適切ではありません。
3.誤り。
乳房撮影では、微小石灰化などを描出するために小焦点が用いられます。
標準的な焦点寸法は 1〜2 mm より小さく、たとえば通常焦点で約 0.3 mm、拡大撮影用で約 0.1 mm 程度が用いられます。
4.誤り。
乳房用 X 線装置の陽極ターゲットには、Mo、Rh、W などが用いられます。
Al は陽極ターゲットとして標準的な材料ではありません。
5.正しい。
乳房撮影では、ヒール効果を利用して厚い胸壁側に強い X 線を、薄い乳頭側に弱い X 線を対応させます。
これにより、乳房全体の線量分布を均一化しやすくしています。
覚えるポイント
- 乳房撮影では低管電圧・小焦点・圧迫が重要。
- 乳房は胸壁側が厚く、乳頭側が薄い。
- ヒール効果により、陰極側は X 線強度が高く、陽極側は低い。
- 乳房撮影では、ヒール効果を利用して線量均一化を行う。
- 乳房用 X 線装置のターゲットには Mo、Rh、W などが用いられる。