111PM036|第111回 看護師国家試験 過去問

看護過程において評価する項目はどれか。

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正解: 4

正答

4.看護目標の達成度

この問題のポイント

看護過程の最終段階である「評価」で、何を基準に何を判断するのかを問う問題です。看護過程は患者の健康上の問題を解決するための思考の枠組みなので、評価の主語は看護師ではなく患者です。計画立案で設定した看護目標(期待される成果)に照らして、患者がどこまで到達したかを判断することが評価です。

解説

看護過程の構成

看護過程は、対象者の健康上の問題を明らかにし、その解決に向けて看護を計画的・系統的に提供するための問題解決の方法です。一般に次の5段階で構成されます。評価の結果は再びアセスメントに戻るので、看護過程は循環するプロセスです。

  • アセスメント:主観的情報と客観的情報を集め、解釈・分析する
  • 看護診断(看護問題の明確化):看護上の問題を特定し、優先順位をつける
  • 計画立案:看護目標(期待される成果)を設定し、それを達成するための具体策を立てる
  • 実施:計画に沿って看護を行い、患者の反応を観察・記録する
  • 評価:患者の状態を看護目標と照らし合わせ、達成の程度を判断して、計画を継続・修正・終了する

看護目標は評価の「ものさし」

評価の基準になるのは、計画立案の段階で設定した看護目標です。看護目標は患者を主語にし、「いつまでに」「どのような状態・行動になるか」を観察・測定できる形で書きます。例えば「術後3日目までに、付き添いのもとで病棟内を歩行できる」と書けば、期限が来たときに達成したかどうかを客観的に判断できます。「安楽に過ごせる」のようなあいまいな目標では、評価もあいまいになります。目標設定と評価は表裏一体の関係にあります。

評価の進め方

  • 期限が来た時点、または実施と並行して継続的に、患者の状態に関する情報を集めます。
  • 看護目標と比べて「達成」「一部達成」「未達成」を判断します。
  • 達成していれば、計画を終了または縮小します。
  • 未達成や一部達成であれば、前の段階にさかのぼって原因を検討します。情報収集は十分だったか、看護診断は妥当だったか、目標は患者にとって現実的だったか、具体策の内容や頻度は適切で計画どおりに実施できたか、を確認します。
  • 検討の結果をもとに計画を修正し、看護過程を再び回します。

臨床では、POS(問題志向型システム)の経過記録であるSOAPのうち、A(アセスメント)で目標に対する達成の程度を判断し、P(計画)で計画の継続・修正を記載します。評価は退院時に一度だけ行うものではありません。勤務ごと、日ごとに患者の反応を見ながら繰り返し行うものです。

評価の対象と、そうでないもの

看護師の技術力、教育、記録は看護の質を支える大切な要素です。ただし、これらは看護師の能力開発や看護管理の枠組みで評価されるもので、看護過程で評価する対象ではありません。看護の質を評価する枠組みとしては、ドナベディアンの「構造・過程・結果」がよく知られており、看護過程の評価とは区別して理解しておくと混同を防げます。

選択肢の確認

1.看護技術の習得度:看護技術をどこまで身につけたかは看護師個人の能力を示す指標で、患者の変化を評価する看護過程の評価項目とは性質が異なります。新人看護職員研修の到達目標や、臨床実践能力を段階的に評価するクリニカルラダーなど、人材育成の枠組みで評価される内容です。技術の未熟さが原因で目標が未達成になることはあり得ます。その場合も、評価の対象はあくまで目標の達成度であり、技術の問題は原因分析の中で「実施方法の見直し」として扱います。

2.看護教育の活用度:看護教育をどれだけ活用したかは、教育や研修の効果を測る視点であり、患者の健康上の問題の解決状況を示すものではありません。患者への指導(患者教育)と混同しやすいので注意が必要です。退院指導などが計画に含まれている場合でも、評価するのは「患者が自己管理の方法を説明・実施できるようになったか」という看護目標の達成度です。指導を行った事実や教育の活用度そのものを評価するわけではありません。

3.看護記録の完成度:看護記録は、実施した看護と患者の反応を示し、評価の根拠となる情報源です。記録が不十分だと適切な評価ができないため重要ですが、記録の完成度そのものは看護過程の評価項目ではありません。記録の質は、記録監査など看護管理の場面で別に評価されます。

4.看護目標の達成度:正答。看護過程の評価では、計画立案で設定した看護目標(期待される成果)に照らして、患者がどの程度到達したかを判断します。その結果に基づいて、計画を終了するか、継続・修正するかを決定し、必要に応じてアセスメントに戻ります。

覚えるポイント

  • 看護過程は「アセスメント → 看護診断(問題の明確化)→ 計画立案 → 実施 → 評価」の5段階で、評価の後は再びアセスメントに戻って循環します。
  • 評価で判断するのは看護目標(期待される成果)の達成度で、評価の主語は患者です。
  • 看護目標は、患者を主語に、期限を示し、観察・測定できる形で書きます。目標があいまいだと評価ができません。
  • 目標が未達成のときは、情報収集、看護診断、目標の妥当性、具体策とその実施状況の順にさかのぼって原因を検討し、計画を修正します。
  • 評価は継続的に行い、SOAPではA(アセスメント)で達成の程度を判断し、P(計画)に継続・修正を記載します。
  • 看護師の技術習得度や記録の質は、クリニカルラダーや記録監査など、看護過程とは別の枠組みで評価されます。

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