111PM061|第111回 看護師国家試験 過去問
正常な成長・発達をしている子どもの情緒の分化で、生後6か月ころからみられるのはどれか。
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正解: 1
正答
1.恐れ
この問題のポイント
乳幼児の情緒がどの時期に、どの順序で分化していくかを問う問題です。基本となるのはブリッジス(Bridges)の情緒分化の図式です。「生後6か月ころ」は、不快の情緒から怒り・嫌悪・恐れが分かれてくる時期にあたります。人見知りが始まる時期と重ねて覚えると判断しやすくなります。
解説
ブリッジスの情緒分化の図式
ブリッジスは乳幼児を観察し、情緒は生まれたときから多種類そろっているわけではないと考えました。未分化な状態から、年齢とともに枝分かれしていくという考え方です。看護師国家試験では、次の流れで問われます。
- 出生時:未分化な興奮のみ
- 生後3か月ころ:興奮から快と不快が分化
- 生後6か月ころ:不快から怒り・嫌悪・恐れが分化
- 生後12か月ころ:快から得意と大人への愛情が分化
- 生後18か月ころ:不快から嫉妬、快から子どもへの愛情が分化
- 2歳ころ:快から喜びが分化
- 5歳ころ:不快の側から羞恥(恥ずかしさ)・心配・失望など、快の側から希望が分化し、成人とほぼ同じ情緒がそろう
生後6か月の段階では、不快の側だけが先に細かく分かれています。快の側が枝分かれするのは12か月以降です。この点を押さえておくと、選択肢を時期で振り分けられます。
生後6か月ころの子どもの姿と結びつける
6か月ころになると、乳児は養育者と見知らぬ人を区別し始めます。見慣れない人や場所、大きな音に対して、泣く・顔をそむける・養育者にしがみつくといった恐れの反応がはっきりしてきます。これが人見知りで、生後6〜8か月ころに目立ちます。スピッツ(Spitz)はこれを「8か月不安」と呼びました。
人見知りは、特定の養育者との間に愛着が形成されてきたことの表れです。発達上の異常ではありません。思いどおりにならないと怒って泣く、嫌な味の食べ物を吐き出すといった反応も、同じ時期に分化する怒りや嫌悪の表れとみることができます。
取り違えやすい点と実践での活用
取り違えやすい点は次の2つです。
- 社会的微笑:乳児は生後2〜3か月ころから、あやすと笑うようになります。ただし、これは分化前の「快」の表出です。ブリッジスの図式で「喜び」が快から分化するのは2歳ころで、時期が大きく異なります。
- 自己を意識する情緒:嫉妬や恥ずかしさは、自分と他者を区別し、他者との関係や他者から見られる自分を意識できて初めて生じます。鏡に映った自分を自分だとわかる自己認知は、1歳半〜2歳ころに成立するとされます。
実践の場面では、次のように役立ちます。
- 保護者への説明:乳幼児健診や家庭訪問、小児病棟では、人見知りや後追いに戸惑う保護者が少なくありません。情緒分化の順序を理解していれば、これらを順調な発達の表れとして説明し、不安を和らげられます。
- 処置時の配慮:6か月以降の乳児が見知らぬ医療者を怖がるのは自然な反応です。養育者に抱いてもらう、事前に顔を見せて慣れてもらうといった配慮につなげられます。
選択肢の確認
1.恐れ:正答。ブリッジスの図式では、生後6か月ころに不快の情緒から怒り・嫌悪とともに分化します。見知らぬ人や物、大きな音を怖がる反応として観察されます。同じ時期に始まる人見知りは、この情緒が分化したことを示す代表的な行動です。
2.嫉妬:ブリッジスの図式で、生後18か月(1歳6か月)ころに不快の側から分化する情緒です。養育者の関心がきょうだいや他児に向いたときに、怒ったり割り込んだりする行動として現れます。自分と他者、他者同士の関係を意識できることが前提となるため、生後6か月では早すぎます。同じ18か月ころに、快の側から「子どもへの愛情」が分化する点もあわせて押さえておきます。
3.喜び:ブリッジスの図式で、快から分化する情緒として示されるのは2歳ころです。生後2〜3か月からみられる社会的微笑は、分化前の「快」の表出です。この情緒と取り違えやすいので注意が必要です。快の側では、12か月ころの得意・大人への愛情のほうが先に現れます。
4.恥ずかしさ:他者の目に映る自分を意識して生じる自己意識的な情緒です。ブリッジスの図式では、幼児期後半の5歳ころに位置づけられる羞恥にあたります。自己認知が成立する1歳半〜2歳ころより前には生じないため、生後6か月の情緒には該当しません。
覚えるポイント
- 情緒分化の流れ:興奮(出生時)→快・不快(3か月)→怒り・嫌悪・恐れ(6か月)→得意・大人への愛情(12か月)→嫉妬・子どもへの愛情(18か月)→喜び(2歳)→5歳ころに成人とほぼ同じ情緒がそろう
- 6か月で分化するのは不快の側の3つ(怒り・嫌悪・恐れ)で、快の側の分化は12か月から始まる
- 恐れの分化は人見知り(6〜8か月ころ、8か月不安)と結びつけて覚える。人見知りは愛着形成の表れで、異常ではない
- 社会的微笑(2〜3か月)は「快」の表出であり、「喜び」の分化(2歳)とは区別する
- 嫉妬や恥ずかしさは、自他の区別や他者の目を意識できるようになってから現れる情緒で、乳児期前半にはみられない
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