111PM071|第111回 看護師国家試験 過去問

Aさん(68歳、男性)は妻(68歳)と2人暮らし。膀胱癌 bladder cancer で尿路ストーマを造設している。Aさんはストーマ装具の交換に慣れてきたため、妻と日帰りで近くの温泉地を旅行する計画を立てており、外来看護師に助言を求めた。外来看護師がAさんに助言する内容で適切なのはどれか。

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正解: 1

正答

1.装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。

この問題のポイント

尿路ストーマを造設した人が日帰りの温泉旅行を計画しているとき、外来看護師がどのような生活指導を行うかを問う問題です。手がかりは「尿路ストーマ」「装具の交換に慣れてきた」「温泉」の3つです。外出先で起こりうる装具の剥がれや漏れへの備え、尿路ストーマに特有の水分摂取の考え方、公衆浴場での入浴マナーを結びつけて判断します。ストーマ保有者(オストメイト)の社会参加を後押しする視点も欠かせません。

解説

Aさんは68歳で、膀胱癌の治療に伴い尿路ストーマ(回腸導管などの尿路変向)を造設しています。装具交換に慣れ、妻と温泉へ出かけたいと考えて外来看護師に相談しています。これはストーマを持ちながら生活の楽しみを取り戻そうとする前向きな行動です。看護師の役割は旅行を制限することではありません。安全に楽しめるよう、具体的な準備を助言することです。

尿路ストーマの特徴を整理しておきます。

  • 尿路ストーマには括約筋がないため、尿は本人の意思と関係なく絶えず流出します。そのため装具を常に装着し、袋に1/3〜1/2程度たまったら排出口から排出します。
  • 面板の皮膚保護剤は尿で溶けたりふやけたりしやすく、消化管ストーマより交換間隔が短くなりがちです。
  • 尿量が少なく尿が濃縮すると、尿路感染症や尿路結石を起こしやすくなります。そのため十分な水分摂取が勧められます。回腸導管では、腸粘膜由来の粘液が尿に混じります。

次に、温泉旅行で起こりうることを考えます。温泉では、温熱、長時間の湯への浸漬、発汗によって皮膚保護剤の粘着力が落ちやすくなります。移動中の長い座位や動作による腹部のしわ・伸展も、剥がれや漏れの原因になります。旅先で交換物品がなければ対処できず、衣服の汚染や強い不安につながり、外出そのものをためらう原因になります。

そのため、日帰りであっても交換物品一式を予備として持参するのが外出指導の基本です。「2回分」とは、予定外の交換に加えて、貼り直しや再度の漏れにも対応できる量です。具体的には次のような備えを助言します。

  • 持参する物品:面板とストーマ袋(あらかじめ穴をカットしておくと旅先で手早く交換できる)、剥離剤、清拭用のガーゼやウエットティッシュ、汚物を入れるビニール袋、着替え。
  • 出発前:新しい装具に交換しておく。
  • 入浴前:袋の尿を排出しておく。

温泉での入浴は、装具を装着したまま入るのが原則です。入浴用の小型パウチやカバーを使うと目立ちにくくなります。施設に事前に問い合わせておくと、安心して利用できます。

このように、選択肢1は外出先でのトラブルを想定した実際的な助言であり、Aさんの計画をそのまま実現させる内容です。ほかの選択肢は、尿路ストーマの管理として誤りであるか、生活を不必要に制限する内容です。

選択肢の確認

1.装具の交換に必要な物品一式を2回分持参する。:正答。温泉での長時間の入浴や発汗、移動中の姿勢の変化によって面板の粘着力が落ち、旅先で予定外の交換が必要になることがあります。交換が一度でうまくいかない場合も考えて複数回分を用意しておけば、漏れが起きても落ち着いて対処できます。外出への不安も軽くなり、ストーマ保有者の外出指導の基本となる助言です。

2.旅行中の水分摂取は1日1,000 mL以内に控える。:尿路ストーマでは、尿が濃縮すると尿路感染症や尿路結石を起こしやすくなります。そのため、むしろ十分な水分摂取(一般に1日1,500〜2,000 mL程度が目安)を勧めます。温泉入浴では発汗で脱水に傾きやすく、排出の回数を減らしたいという理由で水分を控えるのは逆効果です。水分制限が必要になるのは、心不全などで医師から指示がある場合です。事例にそのような情報はありません。

3.他の入浴客がいなければ装具を外して入浴できる。:尿路ストーマには括約筋がなく尿が絶えず流出するため、装具を外して湯船に入ると浴槽の湯を尿で汚してしまいます。温泉は不特定多数が共用する場で、後から他の客が入ってくることもあります。その時点で他の客がいるかどうかにかかわらず、装具を装着したまま入浴するのがマナーです。自宅の浴室では装具を外して入浴することもでき、その場合も腹圧によって湯がストーマから体内に入ることはありません。この自宅での入浴の話と混同しないよう注意します。

4.オストメイト対応のトイレがなければ旅行先を変更する。:尿路ストーマ用の袋には排出口があり、一般の洋式トイレでも便器に向けて尿を排出できます。装具交換も、多目的トイレなどの個室であれば行えます。オストメイト対応トイレは汚物流しや温水設備があって便利ですが、必須ではありません。それを理由に旅行先の変更を勧めると、Aさんの行動範囲と楽しみを不必要に狭めてしまいます。適切なのは、事前に設置場所を調べておくよう勧める助言です。

覚えるポイント

  • ストーマ保有者の外出・旅行では、交換物品を予定より多めに(日帰りでも予備を)持参し、出発前に新しい装具に交換しておきます。汚物入れ、清拭用品、着替えも携行します。
  • 尿路ストーマは括約筋がなく尿が持続的に流出するため、装具を常に装着し、袋は1/3〜1/2程度たまったら排出します。
  • 尿路ストーマでは、尿路感染症と尿路結石の予防のため十分な水分摂取を勧めます。水分を控える指導は誤りです。
  • 入浴は、自宅なら装具を外してもかまいません(腹圧が水圧より高いため湯は入らない)。公衆浴場・温泉では装具を装着したまま入り、入浴前に袋の中身を排出し、入浴用パウチやカバーを活用します。
  • オストメイト対応トイレは便利ですが必須ではありません。生活指導では「制限する」より「どうすれば実現できるか」を助言します。
  • 永久的ストーマは身体障害者手帳(ぼうこう又は直腸の機能障害)の対象となり、ストーマ装具は日常生活用具の給付対象です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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