111PM081|第111回 看護師国家試験 過去問
疾病の内因となるのはどれか。
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正解: 1
正答
1.免疫複合体
この問題のポイント
疾病の原因(病因)を、生体の側にある内因と、体外から作用する外因に分類できるかを問う問題です。「その要因は生体自身がつくり出したものか、外から入ってくる・加わるものか」を判断の軸にします。生体がつくった抗体による免疫反応の産物である免疫複合体だけが、内因にあたります。
解説
病因の2つの分類
病気を起こす原因を病因といいます。病理学では、病因を大きく内因と外因に分けます。
- 内因:生体の側にある要因です。素因、遺伝子や染色体の異常、内分泌の異常、免疫の異常などが含まれます。素因には、年齢・性・人種などの一般的素因と、体質や特定の臓器の弱さなどの個人的素因があります。
- 外因:体外から生体に作用する要因です。次の4つに分けられます。
- 栄養的因子:栄養素の不足や過剰
- 物理的因子:温度・放射線・気圧・電気・機械的外力
- 化学的因子:薬物・毒物・化学物質
- 生物学的因子:細菌・ウイルス・真菌・寄生虫
この分類にあてはめると、選択肢2〜5はいずれも体外から作用するもので、外因の4分類にそれぞれ対応しています。
免疫複合体が内因である理由
免疫複合体は、抗原と、それに対して生体がつくった抗体(主にIgG、IgM)が結合したものです。通常は食細胞に処理されて除去されます。しかし、過剰につくられたり処理が追いつかなかったりすると、血管壁、腎糸球体、関節滑膜などに沈着します。沈着した免疫複合体は補体を活性化して好中球を呼び寄せ、組織を傷害します。これがⅢ型アレルギー(免疫複合体型)です。代表的な疾患には、全身性エリテマトーデス(SLE)のループス腎炎、溶連菌感染後の急性糸球体腎炎、血清病があります。
このとき組織を傷つけているのは、抗体を産生し補体を動員する生体自身の免疫反応です。溶連菌感染後糸球体腎炎のように抗原が外来のものであっても、病変を直接つくるのは免疫系の過剰・異常な反応です。そのため免疫複合体は、「免疫の異常」という内因に分類されます。アレルギーや自己免疫疾患が内因に含まれるのと同じ考え方です。
内因と外因は組み合わさって発病する
実際の疾病の多くは、内因と外因の両方が関わって発症します。
- 感染症:同じ細菌に感染しても、免疫力が低下している高齢者や免疫抑制薬を使用している人は重症化しやすくなります(外因の細菌+内因の免疫低下)。
- 2型糖尿病:遺伝的素因(内因)に、過食や運動不足(外因)が重なって発症します。
看護の場面では、両面からのアプローチが大切です。外因に対しては、感染源、転倒の危険、有害物質などを取り除く環境調整を行います。内因に対しては、年齢、基礎疾患、免疫状態などを踏まえて観察し、予防的なケアを行います。
選択肢の確認
1.免疫複合体:正答。抗原と生体自身がつくった抗体が結合したもので、組織に沈着して補体を活性化し、Ⅲ型アレルギーとして糸球体腎炎や血管炎を起こします。生体の免疫反応の異常によって生じる病因なので、内因(免疫の異常)に分類されます。
2.栄養素:栄養素は食物として体外から取り込まれる物質で、その不足や過剰は外因のうち栄養的因子に分類されます。例として、ビタミンB1欠乏による脚気やウェルニッケ脳症、ビタミンC欠乏による壊血病、エネルギーの過剰摂取による肥満があります。外から取り込むものの過不足が病気を起こす、と整理しましょう。
3.温度:高温や低温は、環境から生体に加わる物理的因子であり、外因に分類されます。高温による熱傷や熱中症、低温による凍傷や低体温症が代表例です。ここでいう温度は、体温(生体の状態)ではなく、外から作用する環境の温度を指します。
4.細菌:細菌は体外から侵入して感染症を起こす生物学的因子であり、外因に分類されます。ウイルス、真菌、原虫、寄生虫も同じ生物学的因子です。なお、溶連菌感染後糸球体腎炎では、細菌の抗原に対する生体の免疫反応が組織傷害を起こします。この傷害をもたらす免疫反応の側(選択肢1)は内因として扱われるので、両者を区別しておきましょう。
5.薬物:薬物は体外から投与・摂取される化学的因子であり、外因に分類されます。毒物、農薬、アルコール、一酸化炭素などの化学物質も同じ分類です。薬物による中毒や副作用は外因による障害です。ただし、同じ薬でも反応に個人差が出るのは、体質や代謝能力などの内因が関与するためです。
覚えるポイント
- 病因は、生体側の内因と、体外から作用する外因に分けられます。判断の軸は「生体自身に由来するか、外から加わるか」です。
- 内因には、素因(一般的素因=年齢・性・人種、個人的素因=体質など)、遺伝子・染色体異常、内分泌異常、免疫異常(アレルギー、自己免疫、免疫複合体)があります。
- 外因は4つに分類されます。栄養的因子(栄養素の過不足)、物理的因子(温度・放射線・気圧・電気・外力)、化学的因子(薬物・毒物・化学物質)、生物学的因子(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫)です。
- アレルギーの型と代表例は次のとおりです。
- Ⅰ型(IgEによる即時型):アナフィラキシー、花粉症
- Ⅱ型(細胞傷害型):不適合輸血、自己免疫性溶血性貧血
- Ⅲ型(免疫複合体型):SLE、急性糸球体腎炎、血清病
- Ⅳ型(T細胞による遅延型):ツベルクリン反応、接触皮膚炎
- 多くの疾病は、内因と外因の組み合わせで発症します(例:感染+免疫低下、遺伝的素因+生活習慣)。
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