111PM003|第111回 看護師国家試験 過去問

職業性疾病のうち情報機器〈VDT〉作業による健康障害はどれか。

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正解: 2

正答

2.視力障害

この問題のポイント

作業の特徴から、体のどこに負担がかかるかを結び付ける問題です。情報機器作業には、次の2つの特徴があります。

  • 画面を近くで見続ける
  • 同じ姿勢でキーボードやマウスを操作し続ける

このため、眼、筋骨格系、精神面に症状が出やすいことが判断の鍵です。ほかの選択肢は、粉じん、振動工具、化学物質や湿潤環境という別の有害要因によるものです。

解説

情報機器作業とは、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの画面を見ながら、データ入力、文書作成、監視などを行う作業です。以前はVDT(Visual Display Terminals)作業と呼ばれていました。当時は2002(平成14)年の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で管理されていました。その後、機器が多様になったため、2019(令和元)年に「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に改められました。問題文の「情報機器〈VDT〉作業」という表記は、この経緯を反映しています。

なぜ眼の障害が起こるのか

  • 調節機能の低下:近くの画面を見つめ続けると、ピント調節を担う毛様体筋が緊張したままになります。その結果、調節機能が落ち、眼精疲労、かすみ目、一時的な視力低下が起こります。
  • ドライアイ:画面を凝視すると瞬目(まばたき)が減り、涙液が蒸発して目が乾きやすくなります。
  • 光による負担:照明が画面に映り込むこと(グレア)や、画面と周囲の明るさの差も、眼の負担を強めます。

眼の疲れは頭痛や肩こりを伴いやすく、作業効率の低下にもつながります。

眼以外の健康障害

  • 筋骨格系:同じ姿勢を長く続けることや、キーボード・マウスの反復操作により、頸・肩・腕・腰の痛みやこり(頸肩腕障害、腰痛)が起こります。
  • 精神面:作業密度が高く、人との交流が少ないため、疲労感、いらいら、不眠などのストレス症状が出ることもあります。

したがって、情報機器作業の健康障害は「眼」「筋骨格系」「精神」の3方向で押さえます。

予防策(労働衛生の3管理)

ガイドラインは、作業環境管理・作業管理・健康管理の考え方に沿って対策を示しています。

  • 作業環境管理:まぶしさを抑える照明と採光、画面の明るさの調整、机と椅子の高さの調整を行います。
  • 作業管理:一連続作業時間は1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10〜15分の休止を設けます。連続作業の途中にも1〜2回程度の小休止を入れます。画面との距離はおおむね40cm以上とし、画面の上端が目の高さとほぼ同じか、やや下になるように置きます。
  • 健康管理:配置前と定期に健康診断を行います。視力や調節機能などの眼科学的検査と、頸・肩・腕・腰などの筋骨格系の検査が含まれます。

なお、この健康診断は法令で義務付けられた特殊健康診断ではなく、ガイドラインに基づく行政指導による健康診断です。産業保健の場で看護職が保健指導をする際は、休憩の取り方、姿勢、画面の位置、意識してまばたきをすることなど、具体的な工夫を伝えます。

他の職業性疾病との対応

職業性疾病は「どんな有害要因にさらされたか」で整理すると混同しにくくなります。

  • 粉じん → じん肺
  • 振動工具 → 振動障害
  • 化学物質・湿潤環境 → 皮膚障害
  • 騒音 → 騒音性難聴
  • 重量物の取扱い → 腰痛
  • 高気圧作業 → 減圧症

このように、要因と疾病を対にして覚えます。

選択肢の確認

1.じん肺:粉じんを長期間吸い込むことで、肺に線維化が起こる疾患です。鉱山、トンネル工事、採石、石材加工、金属研磨、溶接などの粉じん作業で生じます。遊離けい酸による珪肺や、石綿による石綿肺などがあり、じん肺法に基づいて胸部エックス線検査などのじん肺健康診断が行われます。画面を見る作業では粉じんを吸い込まないため、情報機器作業による健康障害には当たりません。

2.視力障害:正答。近くの画面を見つめ続けると、毛様体筋の緊張が続いて調節機能が低下し、眼精疲労、かすみ目、一時的な視力低下が起こります。瞬目の減少によるドライアイも加わり、眼の症状は情報機器作業による健康障害の代表です。

3.振動障害:チェーンソー、削岩機、グラインダーなどの振動工具を長く使うことで生じる障害です。手指の末梢循環障害(発作的に指が白くなるレイノー現象、いわゆる白ろう病)、しびれなどの末梢神経障害、骨・関節の障害が起こり、寒冷で症状が誘発されやすいのが特徴です。キーボード操作で起こるのは反復動作による頸肩腕の障害であり、振動障害とは区別します。

4.皮膚障害:職業性の皮膚障害は、セメント、有機溶剤、切削油などの化学物質との接触、水仕事などの湿潤環境、紫外線への曝露などで起こります。代表は接触皮膚炎で、美容師、調理従事者、手洗いや手袋の使用が多い医療従事者などで問題になります。情報機器作業では皮膚への有害要因の曝露がないため、代表的な健康障害には含まれません。

覚えるポイント

  • 情報機器(VDT)作業の健康障害は、次の3つです。
    眼:眼精疲労、ドライアイ、視力低下
    筋骨格系:頸肩腕障害、腰痛
    精神面:ストレス症状
  • 作業管理の目安は、一連続作業時間1時間以内、次の連続作業までに10〜15分の休止、途中に1〜2回の小休止、視距離おおむね40cm以上です。
  • 2002年のVDTガイドラインは、2019年に「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」へ改められました。健康診断は行政指導によるものです。
  • 有害要因と疾病の対応は、粉じん→じん肺、振動工具→振動障害(レイノー現象)、化学物質・湿潤→接触皮膚炎、騒音→騒音性難聴(4000Hz付近から聴力が低下)です。
  • 職場の健康対策は、作業環境管理・作業管理・健康管理の3管理に当てはめて整理します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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